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7月15日のまにら新聞から

住民に「平和の配当」を

[ 721字|2013.7.15|政治 (politics)|新聞論調 ]

正念場の和平交渉

 治安当局によれば、先ごろ起きたバンサモロ・イスラム自由戦士(BIFF)の暴挙は、反政府武装勢力モロ・イスラム解放戦線(MILF)との和平交渉を妨害することが目的だったという。MILFの分派であることを考慮すれば、彼らがこうした行動にでることは、十分予想できた。

 かつて政府がモロ民族解放戦線(MNLF)と和平交渉を進めていたとき、MILFも同様の行動にでた。MNLFもこのところ、自分たちの分派であるMILFと政府の最終合意に食い込む動きを見せている。1996年に政府とMNLF間で結ばれた和平協定は完全履行に至っていない。その中で、同じ地域に関する和平協定が別の集団との間で、まとまろうとしているのだ。

 当初の和平交渉の命運を振り返ると、政府関係機関だけでなく、民間団体の協力、支援が必要なことが分かる。ミンダナオ地方では、極度の貧困に社会的な不正義と悪政が重なり、大衆がイデオロギーに染まり、イスラム教徒間の武力紛争が何世紀も続いてきた。法の執行機関は、部族間対立に根ざす流血の事態を抑止できない。

 MILFの和平合意の対象地域であるイスラム教徒自治区(ARMM)は、国内で最も開発が遅れた地域の一つだ。この地域には銃器があふれている。住民は持続できる安定した生活を心底、必要としている。和平合意は地域に平穏と楽観主義をもたらしてくれる。この機会を生かし、住民に「平和の配当」を味わってもらわなければならない。

 反政府武装勢力を人々が支持する根源に取り組むこと、それがBIFFら和平妨害勢力を弱体化させる最善の手段だ。政府には、正式な和平合意後に、別の「厄介者」と新たな和平協定の交渉をする余裕はない。(10日・スター)

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