12日朝に比最西端領土の南シナ海パグアサ島付近で発生した中国海警局による比漁業取締船への放水・衝突事件について、フィリピン沿岸警備隊(PCG)のタリエラ報道官は13日、中国船がパグアサ島の1・6カイリ(約2.96キロ)まで接近していたことを明らかにし、「これまではパグアサ本島でなく周辺の砂州(サンディー・ケイ)が攻撃の対象だった。本島にここまで接近されたのは初めてだ」と述べた。
中国海警局の劉德軍報道官は12日、声明で「中国海警局は法に基づき比公船に対し取り締まり措置を講じ、断固として排除した」と発表。それに対し、タリエラ報道官は「事件は朝に発生したが、比公船は午後1時ごろまで同礁で任務を行っていた。何を根拠に排除したなどと主張できるのか」と真っ向から否定した。
12日にパグアサ島に派遣されていた漁業取締船3隻は、13日には南沙諸島の低潮高地エスコダ礁(国際名サビナ礁)に漁民支援のために派遣されていると報告。同礁にはPCGの97メートル級巡視船「BRPメルチョラアキノ」=日本から調達=も停泊しているとした。
エスコダ礁を巡っては、昨年4月から9月にかけてPCG巡視船が停泊し実効支配を主張したが、海警局船による体当たりや、海警船・民兵船による補給妨害のために撤退していた。(竹下友章、ロビーナ・アシド)