国家警察のトーレ長官は8日、国家警察本部(首都圏ケソン市)の指令センターで外国人特派員協会(FOCAP)の会見に応じた。前政権期の麻薬撲滅政策(麻薬戦争)を指揮したロナルド・デラロサ現上院議員、オスカー・アルバヤルデ氏の元警察長官2人について、国際刑事裁判所(ICC)に訴追されているドゥテルテ氏に続き、国際刑事警察機構(インターポール)から手配が出た場合に「逮捕状を執行するか」との質問に、「国家警察は監督機関の指示のもと、インターポールに協力する義務を負っている」と明言した。
公式統計でも6000件以上の捜査中の容疑者殺害が発生した前政権の麻薬戦争ついて、「暗い過去から得た教訓は何か」との質問には、「2016年から22年にかけての麻薬戦争からは数え切れない教訓を学んだ」とし、その一つとして「われわれの職責は法執行であり、任務の遂行は確実に法の支配の貫徹を確実にすることだ」と強調。
さらに「ドゥテルテ氏は最初に『殺せ・殺せ・殺せ』という号令を出した。しかし、彼や彼の部下たちが公式の場で追及されると『これは大袈裟な言い回しで、比喩に過ぎない』と言い、追い詰められれば『黙秘権を行使する』と言うだろう。これが課題だ」と述べた。
▽トクハンは「非合法」
また超法規的殺害が発生したとされる個別宅訪問捜査「トクハン」については、「トクハンはノックして頼むという意味だが、警察官が麻薬の売人や使用者にそうしたことをする法的正当性は見つからない」と断言。「警察ができることは、証拠を集め、令状を請求し、捜査し、逮捕することだ。十分な証拠がない場合、ノックして頼み事をする権利はない」とした。
容疑者殺害に関与した警察職員の責任追及については、「適切な内部捜査が実施され、完了している。麻薬操作中の不正行為について、多くの職員が解雇され、停職処分を受け、降格され、懲戒されている」とした上で、「犠牲者遺族の告訴に基づく事件も56件あり、なお係争中だ」と説明した。
マルコス政権下での麻薬撲滅の取り組みについては「マルコス政権ではすでに450億ペソ相当の違法薬物を押収しており、前政権の140億ペソと比べて3倍だ」と強調した。(竹下友章)