13日にイスラエルがイランの核施設を突如攻撃して以来両国間で攻撃の応酬が続く中、比外務省は19日、イスラエルに取り残されていた21人の議員・政府職員が国境を超えてヨルダンに避難したと発表した。攻撃の応酬開始6日目となる18日に実現した。避難したのは、国会議員2人、市・町長9人、農業技術の研修で滞在していた政府職員10人など。また、帰国を希望する在留比人就労者については、数日中に150人規模の集団帰国事業が始まる見通しだ。
今回の議員・政府職員の越境は、在イスラエル・在ヨルダンのフィリピン大使館が、イスラエル、ヨルダン両国政府に必要な支援や許認可について申し入れを行い実現。イスラエルとヨルダンの間のキング・フセイン国境のヨルダン側では、サントス在ヨルダン比国大使が自ら赴き、21人を迎えた。避難のための一時入国であるため、21人は最長でも72時間以内に同国から出国する必要がある。
カクダク移民労働者相は19日、ラジオのインタビューで海外比人就労者(OFW)の帰国の時期について、「状況は流動的なため日時までは確定的でない」としながら、「まもなく最初の一団を帰国させる」と請け負った。その上で、緊急帰国する海外比人就労者(OFW)に対し、避難所の支援、2カ月分給与相当の給付金、心理的・社会的サポート、医療サービスなどが各省庁によって提供されるとした。同相は近くヨルダン入りし、避難に万全の体制を整える。
在イスラエル比国大使館の発表によると、イランによるイスラエルへの報復攻撃で、比人7人が負傷。うち5人は退院したが、1人は重傷、もう1人は中程度の容態。また、攻撃により67人が家を失ったという。
比外務省はイスラエルをなお4段階の警戒レベルで2番めに低いレベル2(渡航制限)にどどめ置いているが、マルコス大統領は帰国希望者への支援を指示。フィリピンでは通常、こうした場合の帰国便は政府が手配する。在イスラエル比国大使館によると、同国には3万人以上の比人が在留している。(竹下友章、イサベラ・ホワイト)