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後手に回った対応 ボホール州交戦

2017/4/23 社会

 「あの老夫婦はイスラム過激派、アブサヤフの構成員であるはずがない」

 2人を知る親族や隣人たちはこう言って譲らないだろう。11日にビサヤ地方ボホール州イナバンガ町で国軍部隊に射殺されたアブサヤフ構成員は、外国人を標的に身代金誘拐事件を繰り返していたが、この老夫婦は田舎でつましい暮らしをしていただけだ。

 夫は65歳、妻は70代で関節炎を患っていた。武装集団約10人と軍・警察の合同部隊の交戦は避難民3千人を出すに至った。夫は歩行困難な妻と一緒に、避難生活のための荷物を整理しているところだった。しかし、銃撃戦に巻き込まれ、帰らぬ人となった。他の死亡者3人の中にはアブサヤフの幹部、アブ・ラミ容疑者も含まれていた。

 国軍部隊は死亡した5人は全員アブサヤフ構成員だと主張する。しかし住民は老夫婦については「違う」と真っ向から否定した。

 死人に口なしとなった今、その事実関係を調べることはできない。もう一つの疑問点は観光地、ボホール島へのアブサヤフ侵入である。アブサヤフの一部構成員がスルー州を離れたとする関係者の情報が国軍に寄せられたが、ボホール島にたどり着くまでに迎撃できなかった。

 この関係者の情報は米情報機関に流れたとみられ、在比米大使館は交戦の2日前にボホール島がある中部ビサヤ地域への渡航注意勧告を出した。比治安当局はこれを重視せず、交戦は発生した。比国軍の機密情報が不十分であることも露呈した。揚げ句の果てにアニョ国軍参謀総長はフィリピンが島しょ国であることを強調し「海洋の安全保障を確保するために海軍を増強する必要がある」と述べ、侵入を許した原因は軍事力にあると責任転嫁した。これではまた同じような事態が再発しかねない。(20日・インクワイアラー)

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