マルコス大統領は20日午前、首都圏パサイ市のビリヤモール空軍基地から米国に出発した。米時間20日午後に到着する見込み。マルコス氏にとって、トランプ大統領就任後初の米国首都ワシントンDC訪問・初の公式会談であり、トランプ政権下では初の東南アジア諸国首脳の訪米となる。
首都圏パサイ市ビリヤモール空軍基地で閣僚を前に行った演説で大統領は、比米自由貿易協定を念頭に「比米両国だけが利益を得られる互恵的協力を確実にする2国間貿易協定の交渉を行う用意があることを伝える」とした上で、「フィリピンに対する非常に厳しい関税の影響を軽減するための交渉を通じて、われわれが導入したい変更についての進展を見ることになる」とした。8月1日に控える「トランプ関税」の適用を前に、トップ会談による最終交渉に臨む。
マルコス氏は「何人かの国防・経済閣僚がこの場にいないのは、既に向こうに行って(交渉の)土台作りをしているから。それ(関税交渉)だけでなく、安全保障と防衛問題の議論もなされる」と明らかにし、「今回の訪米と首脳会談は国益を持続的に推進し、同盟を強化するために不可欠。アジア太平洋地域と世界における平和の手段と発展の触媒として同盟関係を育むということを再確認する」と説明した。
トランプ大統領は今月、4月に一度発表した「相互関税」の改訂版を各国首脳に通告。フィリピンへの関税は当初の17%から20%に引き上げられ、隣国が交渉を通じて関税率引き下げを勝ち取るなか、地域最大の引き上げ幅となっていた。
比米安全保障問題については、米下院の歳出委員会が先月、米国防省と国務省に対し、「スービック湾の旧米軍基地に共同の弾薬製造・貯蔵施設を設立することの実現可能性」を調査するように要請を出しており、この計画が前進する可能性もありそうだ。(竹下友章)