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「中国に対する抑止力」 RAA、来月11日に発効

2025/8/13 政治
RAA公文交換式の模様。左からテオドロ国防相、ラザロ外務相、遠藤和也大使=12日、首都圏パサイ市ダブルドラゴンビルでロビーナアシド撮影

日比RAAが9月11日に発効。フィリピン国防相「中国に対する抑止力高める」

遠藤和也駐比日本国大使とフィリピンのラザロ外務相は12日、テオドロ国防相同席の下、訪問部隊の法的地位を定め、武器を持ち込んだ本格的な軍事演習などを可能とする部隊間協力円滑化協定(RAA)について、発効前の最終プロセスである公文の交換を行った。これにより、交換後30日となる来月11日にRAAが発効されることが確定した。日本にとっては豪、英に続く3カ国目。比にとっても、訪問部隊の地位を定める協定の締結は米、豪に続き3カ国目となる。

 テオドロ国防相はスピーチで、比日RAAの締結について「他国を排除して自らの利益のみを追求しようとする一方的な試みから世界秩序を守るという共通の目的を持つためだ」とし「私たちとは異なる考え方や価値観を共有しないかもしれない相手に対する抑止力にもなる」と説明。式典後、「どの国を抑止したいのか」との記者団の質問に対し、「一部の国、例えば中国とは、われわれは日本と同じ困難を抱えている。これは否定できない」と明言。「日本だけでなく、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、フランスもそうだ」とし、中国に対し「国際法に対する修正主義と不適切な行動では最優秀国だ」と述べた。

 その上で、両政府が4月に交渉を開始することで合意した、兵站(へいたん)支援を相互に行う物品役務相互提供協定(ACSA)を念頭に、「RAAを完全に実施するためにはアクセス・兵站に関する協定が構成要素として必要だ。具体的な項目はまだないが、様々な機関で毎年協議を行う必要がある」と述べた。

 ラザロ外相は、「急速に状況が変化する安全保障環境の中、比の明確な主権と主権的権利の主張への支援において、比の防衛能力の向上への取り組み対する日本の明確な関与を示している」とし、南シナ海問題への対応力の強化に期待をにじませた。

 遠藤大使は、昨年7月に政府間合意後、比上院が同年12月、日本の国会が6月に承認するという「スピード締結」となったとを振り返り、「この迅速かつ決然とした進展は、両国が安全保障・防衛協力にどれほどの緊急性と戦略的価値を置いているかを物語っている」と指摘。さらに、「この協定は、二国間における画期的な出来事にとどまらず、比・米、そして他の志を同じくするパートナーとの緊密な協力の下、『自由で開かれたインド太平洋』の実現に貢献する」とし、多国間安全保障協力深化のための法的フレームワークとなることを説明した。

 ▽公海上でも適用

 RAAの核心は、訪問部隊が派遣先で事件・事故を起こした際にどうなるかについての合意だ。請求権を定めた23条は、合同演習など公務中に自国の隊員が負傷・死亡したり、自国の装備品が損壊した際の請求権について、原則として「全ての請求権を放棄する」と規定。ただし、隊員の重過失や故意によって発生したと両国が断定した場合は例外とした。

 一方で、訪問部隊が公務中に接受国内の第三者を負傷・死亡させたり、その財産を損傷した場合については、そうした場合に接受国の部隊に適用される接受国の法令を、訪問部隊に適用する。

 基本的には互いの司法管轄権がある領土内についての協定だが、公務中の負傷・死亡、損害についての請求権放棄規定は、第4条で公海上またはその上空における協力活動にも適用されることが明記。南シナ海上で実施される海上共同活動(MCA)をより本格的なかたちで実施することを可能とする内容だ。

 ▽死刑リスク低減規定

 司法管轄権を定める21条は、「もっぱら派遣国の財産や部隊に対する罪、訪問部隊隊員の公務執行中の作為・不作為からくる罪なら派遣国が第一の裁判権し、それ以外では接受国が第一の裁判権を有する」ことを定める。そこで問題となるのが、日本にあり、フィリピンにない罰である「死刑」の適用だ。

 それについては議事録の中で、容疑者の逮捕や引き渡しに関する相互援助規定の中に「関連当局が死刑を求刑しないという保証」が含まれると言及されているほか、操作上の証拠提供に関する相互援助の努力義務について、捜査対象者が死刑を科される十分な可能性があるとき、フィリピンは援助を拒否する旨が記された。ただし、議事録は法的拘束力を有していない。

 そのほか、8条には訪問部隊に対するビザ・外国人登録の免除が規定されているが、「永久的な居住または住所を請求する権利を取得するとはみなされない」とただし書きが付され、また6条では「休暇の許可なしに訪問部隊の隊員が48時間を超えて不在になった場合、派遣国は接受国側に通報する」と定められるなど、ビザ免除を受けた隊員がそのまま脱走、定住することを禁止する条項も盛り込まれた。(竹下友章)

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