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ドゥテルテ氏一時意識不明か サラ氏「死亡したら政府責任」

2025/9/29 社会
オンラインでICCの公判前手続きに出廷したドゥテルテ氏=3月

ドゥテルテ氏がICC収容所で転倒し一時意識不明となり、救急搬送。サラ氏「父が死亡したら政府の責任」

オランダの国際刑事裁判所(ICC)収容施設に勾留されているドゥテルテ前大統領の弁護団代表、カウフマン弁護士は27日、「ドゥテルテ氏が部屋で転倒して一時意識不明となり、病院へ緊急搬送され頭蓋骨・脳損傷の検査を受けたとの報告を受けた」と発表した。サラ氏も同日、病院関係者から家族への情報として同事実を報告。「この『事故』について家族は(当局から)説明を受けていない」とし、ICCがドゥテルテ氏の安全を確保する能力に深刻な懸念を表明。「ICCはドゥテルテ氏が適切なケア、人道的配慮を受けられるよう直ちに行動すべきだ」と主張した。ICCは28日までに事実確認に関する直接の回答をしていない。

 これに先立つ24日、サラ氏は在オランダ比国大使館職員が「家族への通知なしにドゥテルテ氏を訪問した」と発表。「比大使館がドゥテルテ氏に関する報告書をマルコス大統領に提出していたという情報を大統領府から得た」とし、懸念を表明した。翌日、比外務省は訪問の事実を認めた上で、「(外交関係に関する)ウイーン条約に基づく大使館の機能の一環」と説明した。

 サラ氏はこの訪問について「安否確認の名を借りた取り調べであり、今後も続けるようならドゥテルテ氏の死亡も含め、比政府はあらゆる事態に責任を持つ覚悟がいる」とけん制。カウフマン氏は「弁護側と事前調整されなかった」とし、「プライバシーの重大な侵害であり、ドゥテルテ氏への健康状態に関する情報収集のために行われた」との見方を示した。

 27日の声明でもサラ氏は「前大統領を誘拐した政府職員が、前大統領の部屋に侵入し、健康状態が悪化している状況につけ込むことを、ICCが容認していたことを裏付ける事実だ」とし、「権力の乱用」と改めて非難。「ドゥテルテ氏は巻き爪の治療でさえすぐにしてもらえない。ICCは24時間体制の看護の必要性を頑なに無視してきた」とし「これは不当であるだけでなく非人道的だ」とした。

 一方、カウフマン弁護士は、ICC第一予備裁判部に対する申し立て文書の中で、「保釈はフィリピン政府も反対せずに検討している」と主張。26日に部分公開された申し立て文書で明らかとなったが、それに対し大統領府のカストロ報道官は27日、「カウフマン氏は事実を捻じ曲げる技術を持っている」と反発した。

 

 ▽28年への布石か

 弁護側は認知機能の低下などを理由にドゥテルテ氏の審理の無期限延期と第三国への保釈を求めている。今回の事故はドゥテルテ氏保釈の必要性を強調するだけでなく、同氏への同情論を高める材料にもなりそうだ。

 マニラ空港で暗殺された夫のニノイ・アキノ元上院議員の名代として主婦から大統領になったコリー・アキノ元大統領や、内務自治相だった夫の事故死を機に有力候補を破って政界入りしたレニー・ロブレド前副大統領など、比での「弔い選挙」の力は強大。家族の同意のない政府職員の訪問と父の死亡の可能性を結びつけたサラ氏の声明は、比人男性の平均寿命を8歳越えるドゥテルテ氏が28年に控える大統領選を前に死亡した場合に、「政府に殺された」とキャンペーンを張ることで、父を「殉教者」としてブランディングするための布石とみられる。(竹下友章)

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