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5月24日のまにら新聞から

伝統舞踊とエイサーで沖縄と比つなぐ ウチナーネットワーク文化交流会

[ 1483字|2024.5.24|社会 (society) ]

「ウチナーネットワーク文化交流会」で沖縄県庁や青年会代表らが来比し伝統舞踊やエイサーのワークショップ開催

ウチナーネットワーク文化交流会(左上)。古典舞踊を披露する山川杏香さん(右上)。カチャーシーで交流を深める参加者(左下)。タギッグ市立大学生らが天願虎南さんのエイサーワークショップを受けた(右下)=22日、首都圏マカティ市で深田莉映撮影

 首都圏マカティ市のアイアンマンズ・ステーキハウスで22日、沖縄の伝統芸能でつながるプロジェクト「ウチナーネットワーク文化交流会」が開催された。沖縄県庁文化観光スポーツ部の職員が来比したほか、具志川青年会代表の天願虎南(こなん)さん、琉球舞踊の玉城流いずみ会家元の又吉聖子(さとこ)さんを講師に迎え、沖縄のエイサーや伝統舞踊のワークショップが行われ、比の沖縄県人会メンバーや日本語を学ぶタギッグ市立大学生らが参加した。締めくくりにはテンポの速い沖縄民謡に合わせて踊る「カチャーシー」で輪になって盛り上がり交流を深めた。

 2023年度ウチナーンチュ子第等留学生(県費)として沖縄県に8月まで1年間滞在している山川杏香さんも来比。那覇市生まれカナダ育ちで、バンクーバーの沖縄県人会に所属する山川さんは、又吉さんの元で琉球舞踊を本格的に習っており、交流会の通訳を務める傍ら、力強いいでたちと表情で古典舞踊を披露した。カナダ帰国前には舞踊の試験を受ける予定という。

 又吉さんは「ハイタイ!ユタシクウニゲーサビラ(こんにちは!よろしくお願いします)」と沖縄の方言で挨拶し、県人会メンバーは懐かしそうに相槌を打った。2009年に重要無形文化財に指定された琉球舞踊の歴史を紹介し、手足の基本所作やエイサーとの違いには「今まで知らなかった」という声も聞かれた。

 沖縄県人会メンバーで1963年に来比したガッチェス美代子さん(88)は「比に渡る前の当時の沖縄は本当に貧しくて正直エイサーどころじゃなかったけれど、この音楽を聞くと沖縄を思い出して心から懐かしい気持ちになる。体は覚えているものね」と微笑みながら、音に合わせてリズムを取り自然と手を動かした。

▽道具で沖縄と比つなぐ

 今回、具志川青年会などから、大太鼓1台、パーランクー(小さい太鼓)10個、ニシキヘビの皮でできた三線2丁が沖縄県人会に寄贈された。県庁文化観光スポーツ部交流推進課班長の山里将志さんは、県人会の文化活動を今後も支援するとし「ぜひ沖縄の思いが込もった本場の道具を使ってエイサーに励んでほしい」と期待を込めた。寄贈した団体からの動画では、「沖縄人が使ったものを現地(比)で使うことで目に見えないつながりができ、異文化理解が深まれば」とのメッセージが伝えられた。

 英語学校留学などでセブやマニラに何度か訪れているという天願さんは、具志川青年会の本場のエイサーを披露し、レクチャーした。「比の学生がエイサーを学んでくれていることを初めて知った。まさか自分が比でエイサーを披露する日が来るとは」と話した。「沖縄にルーツがある踊りを真剣に練習する皆の姿を見て、一緒にやりながら感動した。青年会代表として学ぶことがたくさんあった」と喜びを口にした。

 エイサーのワークショップに参加したのはタギッグ市立大のロジャー・ラチカ教授の元で日本語を学ぶ大学生ら6人。同教授は沖縄県人会の集まりにもよく参加しており、学生らは今年2月に同会が主催した玉城デニー沖縄県知事一行の歓迎レセプションでもエイサーを披露した。レセプションに向けた練習は動画などオンラインのみだったため、直接指導を受けるのは今回が初めて。ジョンポール・パギッグさんは「難しかったが新しいことを習えて楽しかった!練習してできるようになりたい」と笑顔を見せた。ケント・トゥンバリさんは「エイサーも伝統舞踊も歴史がとても興味深い。音楽もフィリピンにはあまりない、楽器の音がメインの節でユニーク。本物の音はすごかった」と話した。(深田莉映)

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