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3月28日のまにら新聞から

「中国との紳士協定あった」 南シナ海で元大統領報道官

[ 923字|2024.3.28|社会 (society) ]

ドゥテルテ政権期にセカンドトーマス礁への補給は水と食料だけに限定する紳士協定を中国と結んでいたと元報道官が明かした

 ドゥテルテ前大統領の報道官を務めたハリー・ロケ弁護士は27日、前政権期、南シナ海での設置物の建設や修復を行わないという口約束を「紳士協定」として交わしていたことを明らかにした。さらに、現在緊張がエスカレートしている南シナ海南沙諸島のアユギン礁(英名セカンドトーマス礁)の補給任務については、「水と食料の補給だけするということで中国側の了解を得ていた」と発言した。オンラインメディア「ポリティコ」の生配信で語った。前政権の報道官の証言で、補給に関し比中間に約束があるとする中国側の主張の一部が裏付けられたことになる。

 ただロケ氏は、その「紳士協定」は「どの書面にも記されておらず、法的拘束力もなく、現政権には適用されない」と理解を示した。その上で、現政権になって、比中巡視船同士の衝突をもたらした危険操船や、比船を機能不全にし負傷者を出した放水など、南シナ海での中国によるグレーゾーンの力の行使が強まっていることに対しては、「前政権期にのみ有効だった紳士協定が、現政権にも引き継がれていると誤解されている可能性がある」と説明した。

 一方、アユギン礁を実行支配するために意図的に座礁させてある比揚陸艦を「過去の政権は撤去すると約束した」と中国側が主張していることについては、「ドゥテルテ氏は決してそのような約束はしていない」と強調。「ただ現状を維持するという紳士協定があっただけだ」と説明した。

 それに対し、国家安全保障会議(NSC)のマラヤ事務局長補は、声明で「『紳士協定』の存在は承知していない」とし「そのような合意は比の主権を侵害するものであり、この発言をしたロケ氏には説明責任がある」と指摘した。また座礁艦撤去の約束については「南シナ海国家タスクフォースが把握する限り、そのような約束があったことを示す過去の政権の書類はない」と述べた。

 その上で、「マルコス大統領は『そのような約束が仮にあったとしたも、そういった約束はここで撤回する』と宣言しており、この問題は解決済みだ」とし、「現政権下では法的拘束力のある比中間の南シナ海合意は存在せず、中国が『約束』といわれるものを何度繰り返して言っても無駄だ」と述べた。(竹下友章)

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