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4月21日のまにら新聞から

分散型組織がイベント開催 コスプレイベント企業オタキュート

[ 1461字|2023.4.21|社会 (society) ]

首都圏マニラ市でコスプレイベント会社が自律分散型組織形態でのイベント開催

「オタキュート・イベント・DAO・ローンチ・パーティ」の参加者ら=16日、首都圏マニラ市で沼田康平撮影

 首都圏マニラ市で16日、コスプレイベント会社であるオタキュートがDAO(自律分散型組織)形態を導入して初めてのイベント「オタキュート・イベント・DAO・ローンチ・パーティ」を開催した。

 DAOとは非中央集権的な組織で、トークンと呼ばれる暗号通貨を保有する参加者の投票によって意思決定がなされ、また組織がネットワーク上に存在するため、地理的制約もなく全てのトークン保有者が参加できることなどが特徴で、ブロックチェーン上で暗号通貨を媒体として行う経済「Web3・0」を象徴する形態。同イベントはオタキュートが組織した「オタキュート・イベント・DAO」により、立案から協議、実行まで行われた。

 吉本興業の「アジア住みます芸人」として活躍する「ハポン3」のほりっこしさんらが司会を努めた同イベントではDAOで企画されたカラオケ大会やコスプレイヤーによる歌やダンスパフォーマンスが披露され、日本のコンサートさながらの盛り上がりを見せていた。

 オタキュートの大原雄代表はスピーチを行い、DAOやトークンを説明した上で、「一緒にイベントを盛り上げよう」と参加者に呼びかけていた。

 また会場には飲食店のほか、アニメキャラクターのカードゲームやコスプレイヤーの写真を販売するブースもあった。今回のイベントではコスプレ業界で取引されるコスプレトークン=COT、株式会社キュアが運営する最大手のコスプレプラットフォーム「Curecos」で扱える暗号通貨の銘柄=が来場者に無料で配布され、コスプレトークンを活用した取引が行われていた。

 大原代表は「今回のイベント運営はDAOで募集したが、すぐに枠が埋まり、(イベントを)作る側への願望が多いことが分かった。DAO内の協議プラットフォームのアプリDiscord内で企画案も議論された。運営者への報酬はCOTでの支払いだったが、受け入れられた」と、収穫も多かったようだ。

 アニメ「Fate」のキャラクターのコスチュームを着ていたユウキ・コルノコさん(32)は「(COTについて)とても興味深く、新しい。フィリピンではコスプレイヤーが多く、COTの普及も期待できるのでは」と話した。一方で、自らのコスプレ写真をコスプレトークンで販売していたコスプレイヤー誠華さん(25)は「初めて扱うが、(アプリの操作など)正直まだ分からない部分もある」と明かした。

 オタキュート共同創立者の小林健三郎氏は「販売する側もなれていないため、出入金に戸惑う場面もみられたが、これから改善していきたい」と話した。

 大原代表は「われわれの第一歩としては上々。COTでの支払いに対しても若い世代をはじめ、抵抗感もないようだった。次回のDAOイベントでは2000人規模を目指す。COTの普及とともに、やはりイベントをより多くのひとに楽しんでほしい」と意気込んだ。

 ▽広がる比の魅力

 アニメ声優情報を発信している「The Seiyuu Cafe」を運営しているリズム&クラップ株式会社(埼玉県)の髙崎江美社長もイベントに参加していた。自らを「ヲタク」と話す髙崎社長は「日本であるような批判もなく、ヲタクたちが純粋に楽しんでいる姿に安心する」と話した。

 また「好きなものを好きと言える人たち。ヲタク気質もある一方、日本の礼儀を受け入れる理解もある」と比人の可能性が大きいことに言及。髙﨑社長はアニメや声優を通じたフィリピンとの事業や支援活動などを視野に入れているという。(沼田康平)

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