「日刊まにら新聞」ウェブ

1992年にマニラで創刊した「日刊まにら新聞」のウェブサイトです。フィリピン発のニュースを毎日配信しています。

マニラ
34度-25度
両替レート
1万円=P3,680
$100=P5595

1月30日のまにら新聞から

タンテオ氏を次期会長に選出 比日本語教師会が総会で

[ 1880字|2022.1.30|社会 (society) ]

フィリピン日本語教師会は、オンラインで総会を開き、2022〜23年の新会長にマリアエレノル・タンテオ氏を選出

フィリピン日本語教師会(AFINITE)の総会が開かれ、新会長にマリアエレノル・タンテオ氏(写真下)が選出された=29日

 フィリピン日本語教師会(AFINITE)は29日、オンラインで総会を開き、2022〜23年の新会長にマリアエレノル・タンテオ氏を選出した。タンテオ氏は現在、日本で働くための日本語やスキル教育を行うTDGーSGグローバル・ケア・アカデミー(首都圏マニラ市)の教育訓練責任者を務めている。日本語教師歴は25年、会長就任は08〜09年に続いて2度目。

 タンテオ新会長は同会のあり方について「教師の統合やネットワーク作りが主で、お金を稼ぐことは最優先事項ではない。より良い教師を目指す過程でそれは付いてくるもの」と語った。「役員のみが作り上げる組織ではなく、みんなの組織だ。互いにアクティブな環境を作っていきたい」とも述べた。

 2020年〜22年の任期を全うしたジェンベルナデット・ヒエイダ前会長は日本語学習者だった2006年から同会に所属。以来、約15年間日本語教育に携わってきた。「最初からボランティアである会長職の大変さは理解していた」とした上で「新型コロナ以前に約100人いた会メンバーは半減したが、いずれも将来日本語教育のリーダーになるべく参加率の高いメンバーが揃った」と今後の発展に期待を寄せた。

 比における日本語教育の普及に努める日本語センター財団(NCF)のフィリップ・サンビクトレス会長の下で、会長を含む新役員9人が宣誓、比日間の文化交流の促進を誓った。サンビクトレス会長は「日本語教育もデジタル化に移行しており、教え方や教材にも変革が生まれている。リアルタイムで変化を体験している『フロントランナー』」となぞらえた。「両国の架け橋として公益のため、日本の社会や文化を知り働こうとする人たちのために務めている」とも激励した。

 国際交流基金マニラ日本文化センター(JFM)の鈴木勉所長は「前会長が担っていた2年間は、新型コロナの大流行で大きな変化を経験した時期だった。今年はJFMも多くの挑戦を行うつもりだ。共にニューノーマルに向かっていけたら」と話した。また、在フィリピン日本国大使館の田中翠専門調査員はビデオメッセージで「新型コロナで私たちの活動速度は落ちるかもしれないが、決して止まるものではない。素晴らしい才能を持ったみなさんの逆境にも負けない活躍を期待している」と祝福を贈った。

 AFINITEは2001年に首都圏やその近郊の比人日本語教師らによって知識や質の向上を目指して結成された。会費で運営されており、教材や定期的な勉強会などを国際交流基金の助成を得て行っている。現在のメンバーは約50人。

▽コロナ禍で活動はより活発に

 まにら新聞ではAFINITEのコロナ禍での活動やこの先の方向性について、タンテオ新会長とヒエイダ前会長に話を聞いた。

 同会のメンバーはコロナ以前から増減を繰り返してきた。コロナ禍で防疫が始まって半年ほどはオンラインへの移行期間として、各種教育機関が授業の中断を余儀なくされた。会でもオンラインツールの使い方など、勉強会で研究を重ねてきた。その結果、オンライン教授法も発展し、今では仕事が増えた印象だという。

 会では首都圏の日本語教師が中心となって活動が行われてきたが、オンライン化で地域間の交流が深まった。かつてはバギオやビコール、セブ、ダバオなど主に5地域で日本語教師会が発足し、AFINITEが全国的に各地の活動をまとめてきた。国際交流基金からの助成が、定期的な対面交流を支えてきた面もあった。コロナ禍でそうした統合が一気に進んだという。

 会では年に2度、5月と11月に日本語教師フォーラムを開催している。国際交流基金と共同で行った昨年11月の同フォーラムでは、東南アジア諸国連合(ASEAN)から初めてゲストスピーカー6人を招くなど、活動の国際化も進んでいる。

 会メンバーの6割弱が大学講師で、4割弱が語学学校などの勤務だという。両者を掛け持ちする教師もおり、一概には言えないが、高校で日本語を教える教師も若干名在籍している。一般メンバーには日本語能力試験のN4取得が条件となっており、年会費は千ペソ。N4未取得であれば準会員として2000ペソの会費を支払う。N4取得への動機付けといった面もあるという。

 対面式では首都圏の学習者にしか対応できないことから、この先は単に対面式に戻るより、広く学習者を募ることができるハイブリッド授業の確立にシフトしていくとみられる。すでにフェイスブックを通して、カンボジア人に日本語を教える比人教師もいるという。(岡田薫)

社会 (society)