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1月11日のまにら新聞から

ロブレド氏が比の経済復興に適役 大統領選で日系シンクタンク分析

[ 1190字|2022.1.11|社会 (society) ]

日系シンクタンクの報告書で次期大統領選立候補者の中でロブレド氏が比の経済復興に適役との分析が紹介された

2021年10月に大統領選への立候補届け出を提出した野党系のレニー・ロブレド副大統領=2021年10月7日、首都圏ケソン市で(副大統領室提供)

 日系シンクタンクのノムラ・グローバル・リサーチは最近の月間報告書で、投資家の目から見たフィリピンの大統領選立候補者の適格性について、ボンボン・マルコス元上院議員よりロブレド副大統領の方がコロナ後の国家の復興を導くのにより適格であるとの分析結果を明らかにした。特にロブレド氏の国政レベルでの経験値とビジネスフレンドリーな姿勢が高く評価された。国内調査会社パルスアジアが12月に実施した大統領選支持率調査ではマルコス氏が53%の支持率を集め、同20%で2位だったロブレド氏を大きくリードしているが、投資家の目から見るとロブレド氏の方が大統領に相応しいとの結果だった。

 7日の英字紙スターによると、東南アジア諸国連合(ASEAN)に関するエコノミストを含む4人の研究員が連名で作成した報告書では、「われわれの見解ではマルコス氏はロブレド氏よりも市場に歓迎されていないと思われるが、特に国政での経験値とパンデミックから国を回復させるための戦略を練り上げる手腕という点で弱いと見られている」と分析している。また、報告書では、マルコス氏に関する所得税の申告漏れについての有罪判決やそれに端を発した中央選挙管理委員会での立候補資格の剥奪の申し立てという進展などにより「マルコス氏が選挙に勝利した場合でも彼に対する疑惑ゆえに否定的な捉え方をされるだろう」と言及されており、マルコス政権の政策運営に支障が出るとの見方を示した。

 同リサーチはまた、正副大統領選立候補者たちのペアに関する評価も行った。マルコス氏と大統領の娘で副大統領に立候補しているサラ氏のペアに加え、ロブレド―パギリナン上院議員、パッキャオ―アティエンサ下院議員、モレノ・マニラ市長―オン氏、そしてラクソン―ソット上院議長のそれぞれペアについて、1)良い統治(及び政策の継続性)、2)インフラ事業の進捗、3)財政規律、4)国政の経験値、5)ビジネスフレンドリーな姿勢、という5つのカテゴリーについて5段階で評価した。それによると、最もスコアが高かったのがやはりロブレド―パギリナンのペアで1)~5)について順に4,4,4,5,5の評価となり、総合スコアが4.4だった。これに対し、マルコス―サラのペアはそれぞれのカテゴリーで3,4,3,1,1.5となり、総合スコアも3以下に低迷、他の3ペアとも並んでいる。マルコス―サラの評価では、特にビジネスフレンドリーな姿勢で他の4つのペアから大きく水をあけられており、厳しい評価につながっている。

 同報告書では「マルコス氏がロブレド氏を大きくリードしていることを考慮に入れると、政治的な不透明感が今後、さらに増大するとみられ、そのことが国内市場に重しとなり、フィリピンへのポートフォリオ投資流入を妨げる可能性が高い」と外国投資の流入が不安定になるとの見通しも示した。(澤田公伸)

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