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10月9日のまにら新聞から

レッサ氏らに平和賞 ラップラートップが比初のノーベル賞受賞

[ 1002字|2021.10.9|社会 ]
オンラインでまにら新聞の単独インタビューに答えるマリア・レッサ氏=2020年7月

 ノーベル賞委員会は8日午後、オンラインメディア・ラップラーのマリア・レッサ最高経営責任者(CEO)とロシア人ジャーナリストで独立系新聞ノバヤガゼタのドミトリー・ムラトフ編集長の2人に、今年のノーベル平和賞を贈ることを発表した。比で初の同賞受賞者であることに加え、ドゥテルテ政権に批判的な論調で知られるラップラートップの受賞が、世論に与える影響も注目される。

 ノーベル委員会のベリト・アンダーセン会長は、2人の受賞理由について、「民主主義と恒久的な平和の前提にある表現の自由を守るその勇敢な闘いにある」とし「民主主義と報道の自由がますます不利な状況に直面するこの世界で、理想のために立ち上がった全てのジャーナリストの代表」と称えた。ラップラーは8日、「今日の世界でジャーナリスムが果たす役割の重要性が認められた」と記事の中で受賞を歓迎した。

 レッサ氏の受賞に尽力したのはノルウェーのローナス・ストーレ労働党首。ストーレ氏は今年2月、レッサ氏、国境なき記者団、ジャーナリスト保護委員会(CPJ)を同賞候補に推薦していた。2007年の同賞は米国のアル・ゴア前副大統領と気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が受賞しており、後者にはメンバーとしてアテネオ大のジョセ・ビリャリン前学長も加わっていたが、個人としての同賞受賞はレッサ氏が初となる。

 ドゥテルテ大統領をはじめ、名指しでの批判や不特定多数からの個人攻撃にさらされてきたレッサ氏は現在も現政権下に始まった7件の訴訟を抱えている。

 その一方で、ラップラーの過去記事について、比人実業家へのサイバー名誉毀損で有罪判決を受けた。控訴中の今年6月1日に原告が訴訟を取り下げた。

 また、ラサール大教授によるレッサ氏らへのサイバー名誉毀損の訴えも、原告が訴えを取り下げたことで、8月10日にマニラ地裁が却下した。

 比の裁判所は係争中のレッサ氏に対し、これまで何度も海外渡航を禁じてきた。そのため、昨年10月には記者クラブによる自身の受賞式への出席、米国在住の乳がんを抱える母親との面会のための12月の渡米も認められなかった。今回のノーベル賞授賞式への参加が認められるかどうかも今後、焦点となりそうだ。

 レッサ氏は2012年にラップラーを共同設立し、CEOと編集長を務める。2018年には米タイム誌「今年の人」の1人に選ばれた。(岡田薫)

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