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5月14日のまにら新聞から

高リスク群の9割超感染せず イベルメクチン1万人に配布

[ 1437字|2021.5.14|社会 (society) ]

イベルメクチンを新型コロナの予防・治療薬として約1万人に配布した医師に聞く

配布する際に求める同意書を示しながら、イベルメクチンについて語るアラン・ランドリト医師=ラグナ州サンタロサ市で12日、石山永一郎撮影

 駆虫薬イベルメクチンを新型コロナの予防・治療薬として約1万人に配布などをしてきたラグナ州サンタロサ市に事務所を置くアラン・ランドリト医師(首都圏モンテンルパ市保健課主任医師)が、まにら新聞のインタビューに応じ、「イベルメクチンを服用した高リスクの人の9割以上が感染しなかった」などと証言した。(聞き手は石山永一郎)

 ─配布を始めたきっかけは。

 オーストラリアでの治験に関する論文などを読んで研究し、あらゆるウイルスに対するイベルメクチンの非常に高い効果を知り、新型コロナの予防、治療に利用すべきだと確信した。ウイルスに対するイベルメクチンの効果は細菌に対するペニシリンの効果と比肩し得るとの指摘に私も同意する。しかし、モンテンルパ市ではイベルメクチンの効果を疑問視する医師も多かったので、医師や看護師ではなく市保健課のヘルスワーカーらにまず配布を始めた。これまでに配布、販売、処方をした人の数は約1万人。治療用よりも予防用が9割以上だ。

 ─人口比で見た首都圏17市町の累積感染者の少なさの順位でモンテンルパ市は3位となっている。予防効果をめぐるデータはあるか。

 昨年7月から12月までにイベルメクチンを服用した人の98%は新型コロナに感染しなかった。今年になって変異種の感染が広がった後は90%ほどに落ちているが、ヘルスワーカーのほか、仕事上、感染の危険がある人、免疫力が低下している高齢者ら高リスク群を中心に配布をしてきたことを考えると、90%以上の予防効果は非常に高いと思っている。

 ─治療では。

 感染者約500人に投与した。うち300人ほどの無症状・軽症者はほぼ100%ウイルスが消失した。中度の患者は約150人のうち90%が回復した。残り50人ほどの重症患者にも配布したが、すぐに病院に送られたので、その後について把握していない患者が多い。ただ、イベルメクチンの服用で回復した人が少なくないと聞いている。

 ─副作用はなかったか。

 約1万人のうち下痢の症状があった人が約150人、湿疹が出た人が約30人いたが、重篤な副作用は1例もなかった。

 ─現在の活動は。

 市職員を休職し、比食品医薬品局(FDA)から自己調剤したイベルメクチンを販売する許可を受け、庶民でも買える10錠300ペソの価格でイベルメクチンを販売してきた。ただ、自己調剤では需要に追い付かず、中国の製薬会社から直接輸入した分も販売してきたが、保健省から「未承認薬の販売をしてはならない」との警告を3月末に受けたため、販売はやめた。現在は必要としている人に無料で配布している。その一方で薬品会社を設立、食品医薬品局に申請し、イベルメクチンを製造・販売できる製品登録証明書の発行を待っている。

 ─外国人でも配布はしてもらえるのか。

 在庫がまだたくさんあるので、予約して事務所を訪れてくれれば、日本の方にも差し上げる。日本で働いている比人から「欲しい」との連絡を受け、送ったこともあった。

 ─予防用の服用はどのようにするのか。

 初日と翌日に15ミリグラムを1錠ずつ飲む。その後は2週間に1度1錠飲めばいい。10錠で4カ月半ほど予防効果を維持できる。

 ALLAN LANDRITO 1961年生まれ。デラサール大医学部卒。29年間、医師として診療所勤務後、モンテンルパ市保健課に勤務。近著に「FREEDOM FROM COVID19 NOW!」

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