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10月11日のまにら新聞から

試される比社会 SOGIE平等法案めぐる議論

[ 766字|2019.10.11|社会 (society)|新聞論調 ]

 SOGIE(性指向とジェンダーアイデンティティ表現)平等法案は、提出当初から意見の相違が目立っていた。フィリピンのような非常に宗教色の強い社会では、法の下の平等と権利を求めるLGBTQ(性的少数者)コミュニティの闘いは困難を伴う。実際、彼らはすでに上院の激しい論争で苦境に立たされている。ソット上院議長は先だって「大統領がこの法案を緊急性が高いものだと明言しても、上院では通過しないだろう」と述べた。

 大統領はダバオ市で複数の団体に対し、同法案を緊急性の高いものとすると請け合ったが、大統領報道官はいつものように翌日にはその発言の真意を説明せねばならなかった。つまり、ダバオ市の条例のように反差別についての一般的な法律が必要だと大統領は述べたつもりだったというのだ。

 最近の動きとしては、ビリャヌエバ下院議員が率いる同法案に反対するキリスト教団体の連合組織をソット議長らが歓迎し、受け入れたことがある。議長は法案を上院では通させないと約束した。

 一方、彼らが面会した部屋の外では、法案を推進する活動家たちが集結し、LGBTQコミュニティの権利獲得の闘いを示す「SOGIEに人道的配慮を」という展示会を実施した。法案の起草者であるホンティベロス上院議員が加わり、展示が同コミュニティへの暴力への抵抗運動なのだと発言。トランスジェンダー女性がパンガシナン州のビーチで殺害された事件を挙げ、性的少数者へのヘイトクライムが急激に増えているとも指摘した。

 ソット議長は、少なくとも15人の上院議員が同法案に反対票を投じるつもりであると発表し、喜んでいる。しかしホンティベロス議員や同じ意見の人々は、法案だけでなく性的少数者の権利の擁護も順調に推し進めている。法案は対立を生むかもしれないが、必要なものなのだ。(8日・マラヤ)

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