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2月10日のまにら新聞から

遊泳はまだ早い マニラ湾浄化

[ 610字|2019.2.10|社会 (society)|新聞論調 ]

 マニラ湾沿いの遊歩道は、夕焼けの美しさから旅行者や一般の人々に最も見てもらいたい場所の一つだ。しかし、政府が完全に湾の浄化作業を終えるまで遊泳できる場所ではない。

 リサール公園近くの米大使館辺りからフィリピン文化センターに至る約2キロの海岸に、遊泳許可が下りるのには少なくとも数年はかかるだろう。環境天然資源省は向こう6カ月間、遊泳禁止の措置を取り、浜辺には立ち入り禁止のフェンスを設置するという。

 この海岸沿いは近隣のスラム居住者や都市貧困層が集まるスポットでもある。積み上がったごみとひどい汚染は、これまで人々が水に浸ろうとするのを防止する役割を担っていた。

 シマツ環境天然資源長官は、大腸菌群数について「浄化作業開始前の100ミリリットル当たり3億3000万mpn(最確数)から750万mpnに減った」と成果を強調したが、遊泳可能な安全基準は100mpnといわれている。

 マニラ湾の浄化作業が容易なものではない理由として、南はラグナ州からカビテ州、首都圏、北はブラカン州からパンパンガ州、バタアン州まで、多くの地方自治体による協力がなければ実現不可能だからだ。

 マニラ湾問題は、首都圏の水路やその支流沿いの多くの施設や違法居住者が、ごみや汚染水を垂れ流すことで引き起こされた環境災害だ。環境浄化は国際的評価を高めるためにも重要な国の根幹政策だといえる。(8日・スタンダード、エリック・フラド)

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