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8月14日のまにら新聞から

問題引き起こす実名公表 違法薬物対策

[ 706字|2016.8.14|社会 (society)|新聞論調 ]

 違法薬物取引に関与している疑いのある人物を公表するというドゥテルテ大統領の方策は、麻薬戦争を解決に導くよりも、むしろ問題の種になっている。

 自治体幹部や判事、国軍、警察関係者ら160人以上に及ぶリストは、既に死亡していたり、指摘された役職に就いていなかったりする人物も含まれており、欠陥があることが分かっている。

 不備があるリストのため、何度も確認した上で作成されたものだという大統領の主張は疑わしい。大統領の母校であるサンベダ大法学部のアキノ学部長は、大統領の氏名公表は「警察による捜査対象になっているということを指摘したにすぎない」と話した。

 同学長はまた、大統領が氏名を公表したからといって、警察が彼らを逮捕したり内務自治省が辞任を迫るような根拠にはなり得ないとも述べた。

 これは、名指しされた判事をめぐり、大統領に反論の書簡を送ったセレノ最高裁長官の見解と同じだ。

 アキノ学部長はさらに、立証責任は国家にあって、名指しされた公務員たちの役目ではないと指摘。違法薬物取引に関与している公務員を処分するためには、裁判所に告発して証拠を提示するのが最も効果的だと助言した。

 大統領による悪徳公務員の射殺命令などは合法的に実行できるものではない。「射殺命令を規定する法律はない。官憲が相手を射殺できるのは、正当防衛が成立する場合のみ」とアキノ学部長。

 名指しされた公務員が射殺された場合、それは大統領の責任となる。

 大統領が責任を取ったところで国家が法を犯してよい理由にはならない。そういう意味では、大統領が今後、戒厳令を敷く可能性も否定はできないのだ。(10日・トリビューン)

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