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8月8日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 668字|2016.8.8|社会 (society)|ハロハロ ]

 教育12年制が導入され、従来16歳だった大学入学年齢がシニアハイスクールの卒業生は18歳になる。フィリピンの基礎教育が劣っているとは思わないが、海外の大学に入学する場合に、12年間の基礎教育を条件とする国が多く、今回の改革で国際基準に合った制度になった。才能がある生徒は高校の推薦と大学の許可があれば、16歳前でも入学できると聞く。日本で言えば千葉大学などが採用している「飛び入学」に当たる。基礎学力を問題視する意見もあるが、若い才能を開花させることに異論はない。

 フランスの数学者ガロアが高次方程式の解に関する理論を考えついたのは18歳、ガウスが正17角形の作図法を発見したのは19歳だった。学生時代、代数学ゼミの教授から「君がガロアになれるわけはないが、まあがんばって」と妙な励ましを受けたことを覚えている。ガロアは政治運動で投獄され、1832年、21歳の若さで決闘で死んだ。日本数学界の重鎮だった高木貞治博士は「ガロアは時代を超越した。しかし、20年、30年の超越は危険でもある」と示唆的な人物評をしている。

 日本では国立大学でも今年から推薦入学が導入されるなど、入学制度は随分、多様化した。偏差値中心の入試を見直すことから出発したが、欧米やアジアの大学と比べて、国際競争力が劣っていることも多様化の背景にあるようだ。と考えると、フィリピンの教育制度をとやかく言う資格はないかもしれない。問題は独創性や論理的発想を養う土壌があるかどうかだ。基礎教育を充実させれば、才能は自然に芽生えてくると思っている。(立)

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