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4月28日のまにら新聞から

渡航者と市民の安全確保を。バス乗っ取り事件

[ 706字|2014.4.28|社会 (society)|新聞論調 ]

 香港からの外国人観光客8人が射殺されたバス乗っ取り事件から3年以上、ようやくフィリピン政府は香港との関係を修復した。観光客を呼び戻すため、マニラ市のチームが再び香港入りする予定だ。しかし、マニラ市や首都圏に多くの観光客を呼び戻すのは、実際には「謝罪」や「痛恨」を表す以上の努力が必要になる。特に同市は歴史的名所も数多く、マニラ湾の最高の夕日を堪能できる一方、都市として荒廃し、首都圏最高の犯罪率を誇る。

 免職された警官が起こしたバス乗っ取り事件で人質救出作戦が失敗したのは、同市の無法状態を示す最悪の例の一つにすぎない。市と香港の関係は回復しても、観光客のみならず市民の治安に対する不安は残ったままだ。

 首都圏警察マニラ市本部特別機動隊(SWAT)の人質救出失敗劇はテレビで中継され、世界中の笑いものになった。捜査によれば、人質救出には従うべき手順があるが、これらは無視されたという。

 複数の政府高官が事件発生を聞いて現場に駆けつけたが、ドタバタ喜劇が流血の大量殺人という結果に終わったと分かった途端、作戦指揮の責任を他人になすりつけた。事件後の捜査でも、この国の司法制度の不十分さ、法の支配の弱さを露呈した。

 比は多くの魅力に恵まれ、首都圏外への海外からの渡航者は増えている。最も多くの渡航者が訪れる玄関口として、マニラ空港が利用者に優しい施設になれば、渡航者数はさらに伸びるだろう。どの大都市は治安問題を抱えている。しかし、渡航者に十分な安全を確保することは首都圏でもできる。次に人質事件が起きたときは、SWATや自治体危機管理対策本部が万全な態勢で対処してほしいものだ。(26日・スター)

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