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4月21日のまにら新聞から

苦しみは日常茶飯事。聖週間

[ 700字|2014.4.21|社会 (society)|新聞論調 ]

 世界各地のキリスト教国にとって、聖週間は人類の身代わりになったイエスの受難を再確認する時期だ。

 キリスト教の教義は語る。イエスは苦しむ必要はなかった。しかし、彼は「神の子」であるがゆえに世界が地獄に落ちることを救いたもうた。我々は罪を抱えているから、本来ならば地獄に落ちる運命を甘んじて受けなければならなかった。

 この時期にイエスの犠牲を追体験することは、したがって当然のことなのだ。素食に徹して日々祈り、儀式を行う。罪をあがなうため、自身を傷つける。

 それにしても、数百万人のフィリピン国民にとって、信仰に関係なく、苦しみは生活の中で日常茶飯事になっている。

 例えば、電車に乗るだけでも罰を受けているかのようだ。驚くほど長い列に並ぶ首都圏鉄道(MRT)の利用客は、平日によくある光景だ。

 長い列に並び、自分が電車に乗る番を待っていると、比政府に質問したくなる。なぜ彼らは、苦しまずに目的地にたどりつき、帰ってくる権利を国民に与えないのだろうか。

 交通渋滞もまた、毎日戦わなければならない問題だ。特に巨大インフラ工事が重なったこの時期は、より深刻だ。 

 一方で、電力不足の日々が続き、消費者は高額な電気料金を課されている。電力会社の幹部は国民の利益のために働いているのか、大いなる疑問だ。

 良心的な政府であれば、長い間苦しんでいる国民が、基本的なサービスを利用できるよう動かなければならないはずだ。ところが、不運なことに、我々は自分自身だけが頼りだ。ぜいたくな乗用車を乗り回し、国民に無関心で独善的な政府は、罪をあがなう以前の問題だ。(15日・スタンダードトゥデー)

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