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3月10日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 582字|2014.3.10|社会 (society)|ハロハロ ]

 「辛い度」はタイ料理に及ばないものの、インドネシアでも赤、緑色の「唐辛子」が日常の食生活で存在感を発揮、食事にバラエティーを添えている。インドネシアの代表的唐辛子「チャベ・ラウィット」を石の皿で丹念につぶして作ったのが、辛味調味料の「サンバル」。つい最近、この「サンバル」をめぐり、インドネシアの「辛い文化」の「伝統」を肌で感じる機会を持った。

 「ウナギの空揚げを食べましょう」。食欲をそそる誘いを受けて先週末の昼、東ジャワ州都スラバヤ市内に住む友人宅にお邪魔した。風の吹き抜ける2階の部屋に入ると、テーブルの上にウナギの空揚げを盛った皿が並べられていた。これを別皿のサンバルと一緒に口に運ぶ。その時、5歳になる友人の長男が皿に手を伸ばす姿が目に入った。長男はサンバルを右指で器用に取り、ウナギ、ご飯とともに口に運んだ。

 このサンバルは、友人が「相当に辛いですよ」とわざわざ警告してくれたほどの難物。実際、ほんの少量を食べただけでも、口中に火を放たれたような、強烈な刺激が広がる。そのサンバルを小学生にもならぬ男児が、平気な顔で口に運んでいた。「辛くないの?」との問いに、「エナック」(おいしい)との返事。この言葉に両親が優しい表情でうなずく。インドネシアの「辛い文化」が、親から子へと世代を通して引き継がれる現状を目にした思いだった。(道)

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