Logo

27 日 マニラ

29°C25°C
両替レート
¥10,000=P3,820
$100=P5,660

27 日 マニラ

29°C25°C
両替レート
¥10,000=P3,820
$100=P5,660

トーレ警察長官突然の解任 人事巡り公安委員会と対立

2025/8/27 政治
レムリヤ内務自治相(左)の前で就任宣誓を行ったナルタテス新長官代行=26日、首都圏ケソン市国家警察本部(大統領府より)

6月に就任したトーレ国家警察長官が突如解任。後任はトーレ氏が左遷したナルタテス氏。人事を巡る公安委員会との対立が背景に

国家警察を所管するジョンビック・レムリヤ内務自治相は26日、6月に任命されたばかりのトーレ国家警察長官をマルコス大統領が解任したと発表した。辞令は25日付。わずか85日の任期となった。首都圏ケソン市の国家警察本部では26日、ホセメレンシオ・ナルタテス西ミンダナオ本部長を、新長官代行とする就任宣誓式が行われた。ナルタテス氏は昨年国家警察ナンバー2の副長官に任命されたが、今月トーレ前長官により西ミンダナオ本部長に左遷されていた人物。レムリヤ内務自治相は会見で、ナルタテス氏ら幹部人事を巡るトーレ前長官と国家公安委員会(内務自治相が委員長)との対立が「解任の原因の一つ」だと認めた。

 各英字紙などによると、ナルタテス氏は昨年首都圏警察警視総監を務めた後、同年10月に国家警察ナンバー2の副長官に就任。今年6月に定年退職したマルビル元長官の後任人事の際には、最有力候補の一人に名が挙がっていた。 就任2週間後に首都圏16市警察署長の半数を交代させるなど、人事権で大ナタを振るって「組織改革」に着手していたトーレ氏。同氏は今月6日、ナルタテス氏に対し、副長官から西部ミンダナオ本部長への異動を命令。これに国家公安委員会は反発し、14日にナルタテス氏らを元のポジションに復帰させるよう命令した。その後、トーレ氏は「問題は解決した」と述べていたが、同委員会の命令は実施していなかったとみられる。

 エストラダ政権期に国家警察長官を経験したパンフィロ・ラクソン上院議員は「国家警察幹部の任免は大統領、国家公安委員会、内務自治相の承認を得る必要がある」とし、トーレ氏の人事を巡る「越権行為」が解職の原因との見方を示した。

 ▽「ドゥテルテの敵」失脚

 トーレ氏は昨年ダバオ地域本部長として、ドゥテルテ陣営を支えた新興宗教「イエス・キリストの王国」の教祖キボロイ師=5月の上院選でドゥテルテ陣営から立候補=を、人身売買などの容疑で逮捕。今年3月には国家警察犯罪捜査隊長として、国際刑事警察機構(インターポール)の手配に基づきドゥテルテ前大統領を逮捕した。

 先月には、「殴り合いなら負けない」と動画で挑発したダバオ市長代行のセバスチャン・ドゥテルテ氏=ドゥテルテ前大統領次男=の挑戦に応じ、慈善ボクシング試合を設定。訓練動画などを配信し国民の関心を集めた後、試合に姿を見せなかったセバスチャン氏に「不戦勝」を宣言。その「勝利」をマルコス大統領は施政方針演説でも取り上げたたえていた。 トーレ氏突然の解任は、ドゥテルテ陣営にとっては吉報と言えそうだ。

 

 ▽5分内対応は継続か

 「ドゥテルテ政権期に比べ治安が悪くなった」という言説が広がる中、5月の中間選挙で自陣営の上院候補の約半数を落選させたマルコス大統領から体感治安の改善を求められたトーレ氏は、「通報後5分内現場到着」という基準を徹底。その後首都圏マカティ市でも拳銃路上強盗の逮捕が次々報告されていた。

 「トーレ氏が始めた取り組みは大きく変わるのか」との記者の質問に、レムリヤ内務自治相は「9月には新たな911システムが始まる。トーレ氏が導入した通報5分以内対応は、ナルタテス新長官代行に引き継がれることを期待する」とした。

 トーレ氏との意思疎通については「昨夜、今朝と電話したがつながらなかった。しかし別の方法で解職の辞令は伝えてある」とした。

 ナルタテス氏は南イロコス州出身で、マルコス大統領の地元・北イロコス州の警察本部長も経験。ナルタテス氏は国軍士官学校卒の中で警察を志願できた最後の世代なのに対し、1歳上のトーレ氏は国家警察大学の第一期生。 (竹下友章)

おすすめ記事

トーレ警察長官突然の解任 人事巡り公安委員会と対立

2025/8/27 政治 無料
無料

自衛隊が正式参加へ 来年の合同軍事演習

2025/8/21 政治 無料
無料

接続水域間際に展開 海警局船、比巡視船妨害目的か

2025/8/16 政治 有料
有料

米軍艦がスカボロー礁通過 中国は「領海侵犯」と主張

2025/8/14 政治 有料
有料

外務省「深刻に懸念」 スカボロー礁中国艦船衝突で

2025/8/14 政治 有料
有料

「中国に対する抑止力」 RAA、来月11日に発効

2025/8/13 政治 無料
無料