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6月19日のまにら新聞から

海軍種合同活動を議論 3カ国安全保障高官会議

[ 1386字|2023.6.19|政治 (politics) ]

初の比日米安全保障担当高官会談で、インド太平洋海域における海自・比米海軍の合同活動の可能性が議論

岸田首相を表敬訪問したアニョ国家安全保障担当大統領顧問(左)=15日、東京(首相官邸ホームページより)

 比国家安全保障会議は17日、前日に東京で開催された初の比日米間安全保障担当高官会議の結果をまとめた共同文書を発表した。比のアニョ国家安全保障担当大統領顧問、秋葉剛男国家安全保障局長、米国のサリバン国家安全保障担当大統領補佐官の3者は、航行の自由とルールに基づいた国際秩序を支援することを目的としてインド太平洋海域で「海軍種多国間活動を含む共同海洋活動」を実施する可能性について議論した。6日には南シナ海で初の比日米海上保安機関による合同訓練が実施されたが、次は海上自衛隊・比米海軍間での合同哨戒や航行の自由作戦を行う可能性が現実味を帯びてきた。

 3者は、3カ国海上保安機関合同訓練の意義を確認した上で、国家レベルの影響を与える海洋情報を政府間で共有する海洋状況把握(MDA)を強化するために、日本が今年始める政府安全保障能力強化支援(OSA)や日米豪印協力枠組み「クアッド」による「海洋状況把握のためのインド太平洋パートナーシップ」(IPMDA)を活用することの重要性を確認した。

 また3者は、比米防衛協力強化協定(EDCA)に基づく4カ所の米軍利用可能施設の追加や、比日円滑化協定(RAA)締結を念頭に交渉が進む部隊相互訪問の枠組みを基盤として3カ国協力を推し進めることに合意。EDCA施設や比日RAAを3カ国安全保障協力に活用する方向性を明示した。

 経済分野については、経済安全保障と経済の強靭(きょうじん)性を促進するために共同で取り組むとともに、他のパートナー国と協力しながら「経済的威圧」に対抗することを確認した。「経済的威圧」とは、中国が外交的対抗措置として関税上乗せや、レアアース(希土類)など重要資源の輸出停止をする行為を指し、バイデン政権はインド太平洋経済枠組み(IPEF)を通じてサプライチェーン(供給網)の中国依存度を減らす取り組みを推し進めている。

 さらに3者は、人道支援・災害救援分野での3カ国協力を深化することでも一致した。

 ▽比基地を自衛隊が使用も

 17日の英字紙インクワイアラー電子版は米ロイターの情報として、河野克俊元自衛隊統合幕僚長が「日本の比に対する防衛支援は徐々に拡大していくことが予想され、最終的には対艦ミサイルなど殺傷性装備品の供給に発展することが望ましい」と発言したと報じた。また同元統幕長や日本政府関係者の発言として、比政府が日本の自衛隊に対し南シナ海で航空哨戒をするために比国内の基地の利用を認める可能性もあると報じた。

 また、日本が「同志国」にどの種類の防衛装備品を供給するかについて、日本政府は米国からの助言を受けていたとの日本政府関係者の証言を紹介。日本は初のOSA事業として警戒管制レーダーを比に無償供与する見込みだが、それについて河野元統幕長は「レーダー供与は(台湾と比の間にあり国際水路の要所である)バシー海峡の情報共有が見込まれ非常に有用だ」と述べたとした。

 また防衛省シンクタンク・防衛研究所の石原雄介主任研究官の発言として、「比は現政権になって日米との防衛協力強化に前向きなシグナルを出しているが、対中関係を考慮すると敏感な問題でもある。(日米は)単なる防衛問題でなく経済安全保障問題を含めて議論することで比を参画しやすくするだろう」との分析を紹介した。(竹下友章)

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