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5月11日のまにら新聞から

気候変動や高齢化に危機感 大統領がASEANサミット出席

[ 952字|2023.5.11|政治 (politics) ]

大統領がインドネシア開催の東南アジア諸国連合第42回首脳会議の開幕式でスピーチ

インドネシアで行われた東南アジア諸国連合第42回首脳会議の開幕式に参列したマルコス大統領(左端)をはじめとする各国首脳ら=大統領広報室フェイスブックより

 マルコス大統領は10日、インドネシアの東ヌサトゥンガラ州で行われた東南アジア諸国連合(ASEAN)第42回首脳会議の開幕式に出席し、少子高齢化や気候変動対策における地域間の協力を呼び掛けた。

 大統領はスピーチのなかで、「数十年間続けてきた経済成長と繁栄のなか、ASEAN地域でも高齢化が起きている。アジア開発銀行によると、2050年までにアジア太平洋地域の4人に1人が60歳以上になる」と指摘。「特に社会保障制度や社会的エンパワーメントを見直すチャンスでもある。高齢者を大切にする伝統とともに、高齢化社会に対する議論を始める時だ」と地域間での団結を呼び掛けた。

 また大統領は気候変動対策としての再生可能エネルギー技術移行の必要性と先進国による支援義務を強調した。「比のような発展途上国は世界における温暖化ガス排出量の原因の1%にも満たないが、気候変動がもたらす壊滅的な影響を受けている。金属資源が豊富な比はエネルギー政策において大胆な政策で改革してきたい」と述べた。

 また先進国による「倫理的義務」にも言及し「世界規模の気候変動対策を達成するため、技術移行や能力開発、気候変動対策への融資が必要」とパリ協定に基づく先進国の地域貢献を果たすよう強調した。

 さらにマルコス大統領は、ASEANへの正式加盟を目指す東ティモールが「ASEANを強化する」として、同国への支援も訴えた。東ティモールからはタウル・ルアク首相が今回の首脳会議にオブザーバーとして参加している。

 

 ▽ラオスと協力強化で一致

 一方、マルコス大統領は10日、ラオスのソンサイ・サイファドーン首相と会談し、地域間における共同利益を目指すことで一致した。

 大統領は会談後の記者会見で「海外比人就労者(OFW)およそ2000人がラオスで働いており、彼らの特に教育分野での貢献を誇らしく思う」と明かし、「教育をはじめ観光や他の分野でも関係を強化することで合意した」と説明した。

 サイファドーン首相は「都合の良い時期に訪問を」とマルコス大統領にラオスへの公式訪問を提言したという。

 大統領は両国について「長く成果の多い関係」と言及し、可能性のある分野で貿易関係の強化なども見据えていると明かした。(沼田康平)

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