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12月18日のまにら新聞から

比が世界一のODA受領国へ 今年度4000億円見込み

[ 831字|2022.12.18|経済 (economy) ]

今年度の比のODA円借款額が4000億円を超え世界最大の受け取り国となる見込み

 国際協力機構(JICA)フィリピン事務所の坂本威午所長は16日、日本から比への政府開発援助(ODA)の円借款額が、21年度の約2500億円から22年度には4000億円以上に増加し、インド、バングラデシュを超え比が世界一の円借款受け取り国となる見込みであることを明らかにした。

 累計額から見ると、比への借款額は2021年時点で3兆6259億円となっており、インド、インドネシアに次ぎ世界3位。無償資金協力受け取り累計額では2454億円で世界1位、技術協力累計額では2717億円でインドネシアに次ぎ世界2位となっている。

 日本が比への開発協力を優先する理由について坂本所長は、比のインフラ、人間開発指数、所得格差が地域最悪水準であることに加え、災害へのぜい弱性にいたっては世界最悪水準である点を挙げ、開発課題の大きさを説明。また、地域の安全保障を巡る環境が不安定化する中で、日本政府が比の地政学的重要性の認識を強めていることに加え、太平洋戦争に関連した「歴史的シンパシー」もあると説明した。

 アジアへのODAの前身は戦後賠償事業。キリノ政権下の52年、エリサルデ外相は、当時の日本の支払い能力を遥かに超える80億ドル(2兆8800億円=当時=)を要求した。難航を極めた交渉の結果、56年に締結された賠償協定では5億5000万ドル(1980億円)の賠償と2億5000万ドル(900億円)の借款で合意。この額は、2度にわたって賠償を受けたビルマ(ミャンマー)の計1193億円や、東南アジアで最多となる400万人の戦争犠牲者を出したインドネシアの803億円を大きく上回り、東南アジア最大の賠償額となった。

 外務省の政府開発援助(ODA)国別データ集によると、近年の日本から比への円借款額は2016年度が213億円、17年度が1298億円、18年が2696億円、19年が44億円、20年が2540億円となっており、年度ごとに大きく変動している。(竹下友章)

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