フィリピン統計庁は8日、今年第1四半期(1~3月)の国内総生産(GDP)が前年同期比5・4%増だったという速報値を明らかにした。政府目標の6~8%には及ばなかったものの、昨年10~12月に記録した5・3%増からはわずかに加速しており、堅調な伸び率を維持したとの見方が強い。
比中銀のレモロナ総裁は4月11日に、米トランプ政権の関税政策の影響に触れた上で、今年の経済成長率が政府目標を下回る5・2%程度となるとの見通しを示していた。
1~3月期の経済成長率の伸びに対する主要な貢献分野としては、卸・小売りと自動車および自動二輪車の修理業で記録した前年同期比6・4%増、そして金融・保険業の同7・2%増、さらに製造業の4・1%が顕著だった。
また、農業(農林水産業)が2・2%増まで回復したほか、鉱工業が4・5%増、サービス産業も6・3%までそれぞれ加速した。
需要サイドでも家計最終消費支出が5・3%増に加速したほか、政府最終消費支出も18・7%、モノとサービス輸出も6・2%、モノとサービス輸入も9・9%ぞれぞれ拡大した。堅調な個人消費と政府支出が比の経済成長を支えている状況がより鮮明となっている。
経済計画開発省(旧国家経済開発庁)のローズマリー・エディリオン次官は8日の声明で「今回のパフォーマンスは世界的な経済不透明感の高まりの中にあっても我々の経済が比較的レジリエンスが高いことを明確に示している」と述べて自信を示している。また、比の第1四半期成長率は「すでに発表されているアジア諸国の中では、ベトナムの6・9%に次いで2番目に高い」と評価した。(澤田公伸)