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7月8日のまにら新聞から

今後3年ASEAN最速の成長 ジョクノ財務相が見通し発表

[ 926字|2022.7.8|経済 (economy) ]

ジョクノ財務相「向こう3年間の比の経済成長率はASEANプラス3中で最大となる」

 ジョクノ財務相は6日、向こう3年間の比の国内総生産(GDP)成長率が東南アジア諸国連合と日中韓(ASEANプラス3)の中で最大となるとの見通しを発表した。今年の経済成長率については「まだ財政政策を打つ余地がある」とし「6・5~7・5%」という予測値を提示。さらに「来年、再来年もASEANプラス3最大となり、2028年まで6・5~8・0%の水準で推移する」と述べた。

 成長を促す財政政策について同相は「ドゥテルテ政権前、公的資本形成のGDPに占める割合は2%未満に過ぎなかった」と指摘した上で、「2023~28年の間、政府のインフラ支出を対GDP5~6%まで引き上げる」と明言。財政規律を担う財務相が積極財政にお墨付きを与えた。

 積極財政の副作用として懸念される政府債務問題については「25年まで現在63%の政府累積債務対GDP比を60%にまで下げる」との目標を発表。マルコス大統領任期が終わる28年までの中期財政強化計画は「策定済み」とし、経済成長による税収増によって成長と財政健全化の両立は可能との立場を示した。

 さらに28年までに比の1人あたりの国民所得を「『上位中所得国』に分類される4046ドルまで引き上げることを目標としている」と発表。世界銀行によると21年時点で比の一人あたりの国民所得は3640ドル。6年間で比人の平均年間所得を2万ペソ以上引き上げる計算だ。

 また同相は貧困率にも言及し、28年までに「1桁台の9%までに下げることが目標」とした。比統計庁によると、21年時点で、最低限の生活に必要な所得水準(貧困線)以下の生活を送っている比人は23・7%。貧困層の所得引き上げを伴う「包摂的な経済成長」に向かって野心的な数値目標を設定した格好だ。

 また6月に6%の大台を越えたインフレ率については「向こう数カ月高水準が続くも、年率で5%前後となる」と予想。「23年は4・2%程度、24年には3・3%と政府・中央銀行の目標レンジ(2~4%)内に戻る」とした。

 一方、国家経済開発庁のバリサカン長官は4日、インフレ率の急上昇を受け、経済成長目標を現在の7~8%から6~7%に引き下げるよう提言している。(竹下友章)

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