大阪を訪問した比経済閣僚は11日、日本政府代表らと第16回日比経済協力インフラ合同委員会会合を開いた。比財務省によると、参加したレクト財務相は日本代表に対し、「1円1ペソがより効果的に、より遠くまで届くよう努める。透明性、予測可能性、そして確実な実行力をもって、日本政府の信頼に応える」と約束した。
日本はフィリピンにとって最大の政府開発援助(ODA)提供国だが、ODA事業に必要な比国内予算が議会で削減、または予備費に付け替えられ、それが事業の遅れにつながるなど、事業遅延に関し比側の予算編成プロセス上の問題も浮上する。マルコス大統領が政府予算案の議会による変更に強い態度で臨むことを宣言する中、先月JICA議員連盟と会談したディゾン現公共事業道路相(当時運輸相)に続き、日本ODA事業について比政府の強い決意を示した格好だ。
比財務省によると、今年度に日本から借款を受ける大型事業としてはビサヤ地方レイテ島とサマール島を結ぶ全長2・6キロメートルの第2サン・フアニコ橋建設事業などがある。今回の合同委では、スービック湾に建設予定の比沿岸警備隊(PCG)施設の開発計画、南北通勤線、首都圏鉄道(MRT)3号線の改修事業、首都圏主要橋梁(きょうりょう)の耐震化事業についても議論された。
森総理補佐官は、来年に控える国交正常化70周年に向けて、民間資金の動員も含めた今後の方策を深めたい旨申し入れた。
比財務省によると、日本は今年3月時点で約141億9000万米ドル(約8057億6000万ペソ)の協力を約束。フィリピンのODA構成の39・15%となり、比にとって引き続き最大の協力国となっている
同合同委には、フィリピンからは大阪を訪問したレクト財務省、バリサカン経済計画開発相のほか、日本ODAによる治水事業の政府予算問題に取り組むサダイン公共事業道路次官などが参加。日本からは森昌文内閣総理大臣補佐官はじめ各省庁職員、遠藤駐比日本国大使、国際協力機構(JICA)、国際協力銀行(JBIC)の代表者らが出席した。
日比インフラ合同委は、安倍晋三元首相が2017年にフィリピンを訪問した際に当時のドゥテルテ大統領と設置することで合意。5年間で1兆円のODA・民間投資の目標実現に役割を果たした。 (竹下友章)