南シナ海で26日、米原子力空母ニミッツを中核とする米太平洋艦隊第11空母打撃群配属の哨戒ヘリ、戦闘機が相次いで墜落した。乗組員5人は無事救助された。米太平洋艦隊が公式SNSで27日に公表した。同空母打撃群はトランプ大統領のアジア歴訪のタイミングに合わせて南シナ海でにらみを効かせる「プレゼンス・オペレーション」を行っていたとみられ、米国の威信の低下につながりかねない。
米太平洋艦隊によると、26日午後2時45分ごろ、空母ニミッツから発艦した第73ヘリコプター海洋打撃飛行隊(バトルキャッツ)所属の海軍哨戒ヘリ「MH60Rシーホーク」が、活動中に墜落。乗っていた3人は救助された。
その約30分後、第22戦闘攻撃飛行隊(ファイティング・レッドコックス)所属の戦闘機「F/A18Fスーパーホーネット」が空母ニミッツからの作戦行動中に墜落。乗組員2人は脱出し、救助された。米軍は原因について調査をしている。
中国外務省の郭嘉昆報道官は27日の会見で、米軍機2機の墜落事故に関し、「人道的見地から必要な支援を提供する用意がある」と表明。その一方で、「米国の軍艦や航空機が南シナ海に頻繁に派遣され、威嚇行動をとっていることが、海洋安全保障上のリスクと地域の平和と安定の混乱の根本原因だ」と批判した。
▽驚くべき偶然
南シナ海の船舶動向を監視するスタンフォード大ゴルディアンノットセンターのレイモンド・パウエル氏(退役空軍大佐)は英字紙インクワイアラー(電子版)に対し、「同じ艦から発艦した別々の航空機がこれどほ短時間に連続で事故を起こした前例を思い出すことはできない」とし「驚くべき偶然だ」と述べた。
4月にも紅海に展開していたニミッツ級原子力空母「ハリー・トルーマン」から発艦した「スーパーホーネット」がイエメンの反政府組織フーシ派の攻撃を回避する際に海上に落下。翌月には別の「スーパーホーネット」が着艦に失敗し墜落する事故が報告されている。(竹下友章)




