まにら新聞記者が大阪市で開催されていた大阪・関西万博に足を運び、東南アジア地域各国の展示を鑑賞した。同地域からは、ミャンマーを除く10カ国が参加。すでに万博は幕を閉じてしまったが、各国模様がいきいきと反映された東南アジア各国の展示を一つ一つ紹介したい。第1回は、東南アジア諸国連合(アセアン)ブースを振り返る。
アセアンブースは、国連パビリオンに隣接する国際機関館内に展開。ブース内に設置されたボードでは、地域概要のほか、「森林保全」や「日アセアン関係」に関するデータと取り組みが紹介されていた。展示内容は、重要な統計を用いつつ、アセアンをはじめて知る人にもわかりやすいシンプルな構成。今月下旬にアセアンへ正式加盟する見込みの、東ティモールにも言及があった。
ブースの入り口には、東南アジア各国の代表的な建造物を彫刻した木製の門を設置。フィリピンの建造物からは、首都圏マニラ市のリサール公園内にある「リサール記念碑」が選ばれていた。門をくぐると、アセアン加盟10カ国の国旗がずらりと並ぶ。旗の前には、万博に合わせて誕生したアセアンブース公式マスコット「テナヤ」が小さく紹介されていた。そのほか、同地域内の様々な織物を編み込んだアートなども設置され、来場者を惹きつけていた。
▽スタンプラリー企画
アセアンブースは、マレーシアの大手航空会社「エアアジア」の協賛で、独自のスタンプラリー企画「アセアントレイルチャレンジ」を実施。万博会場内のアセアン加盟国のパビリオンを巡り、専用スタンプを集めるイベントだ。記者も午前10時直前になると、専用のスタンプパスポートを入手するため並ぶと、6人ほどが同ブース内に待機列を形成していた。
万博公式のスタンプラリーでは、約1200円のスタンプパスポートが販売されていたが、アセアントレイルのスタンプパスポートは無料。ブースの門にもあしらわれ た各国建築物のイラストと、国の簡単な説明を記した押印欄を、鮮やかな赤い表紙でとじたこだわりのデザイン。パスポートの個人情報欄を模した冒頭ページには、アセアン設立日を想起させる「A08081967」の文字列が記されていた。
アセアントレイルの専用スタンプは、多くのパビリオンの出口付近に設置されているのか、会場内に常設されていない場合が多かった。スタンプの位置を訪ねる際のスタッフとの小さな会話が、スタンプラリー参加体験を一段と特別なものにした。全てのスタンプを集めてアセアンブースに戻ると、アセアン紋章のピンバッジをもらえた。
アセアン公式インスタグラムでは、万博会期前半より、来場者がアセアンのスタンプラリーを楽しむ様子が投稿されていた。ブースの紹介投稿は英語の文章が多かったため、日本人の万博来場者にはアセアンブースの情報が届きにくかった可能性がある。その点を考慮しても、アセアントレイルチャレンジは、来場者が東南アジアに興味を持つ導入イベントとして、優れた企画であった。(宇井日菜)