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「リトル東京周辺の安全を確保」 定期検問・見回りを開始 警察・事業者団体

2025/5/18 社会
16日深夜にチノロセス通りで実施されたオートバイ対象の検問。中央右はMACROマカティ市部長のクリス・ウーンさん=竹下友章撮影

リトル東京エリアの飲食事業者団体(MACROマカティ支部)が警察と共同でオートバイの検問などを実施。エリアの治安向上に本格的に動き出す

邦人向けのバーやレストランが密集する首都圏マカティ市のリトル東京・クリークサイド・マカティセントラルスクエア(MCS)周辺で16日深夜から翌日未明にかけ、新たにマカティ支部を発足した飲食事業者団体「MACRO」が首都圏警察マカティ署第3分署と連携し、オートバイ対象の検問、および各店舗の見回りを行った。同団体と第3分署による共同検問は今回が初めて。昨年10月から続発する邦人を狙った拳銃強盗報告のあおりで地区の飲食店が客足の激減に直面するなか、治安向上のために毎週金曜日に定例化する予定だ。

 MACROはマニラ市マラテ地区で長年治安維持活動に取り組み、同地区で警察・バランガイ(最小行政区)との緊密な連携体制を構築している団体。任意団体時代も含めて約15年MACROの活動に参画し、現在同団体の副代表を務めるクリス・ウーンさん(バー「KAIZOKU」のオーナー)は、3月にマカティ支部を正式に発足させ、支部長に就任。経験を生かし、マラテと同様の体制をリトル東京エリアに構築することを目指す。現在同支部には、クリークサイドのバー「HEIWA」、「ANATA」、「LITTLE SHIAWASE」、「OCHO」、「HANA」、リトル東京の日本食レストラン「HOT・TOKYO」、MCSのバー「カルティエ」などが加盟する。

 16日午後10時すぎ、MACROのユニフォームを着たボランティアが警察車両に同乗して向かったのは、MCS西側のチノロセス通りを南に300メートル進んだドンボスコ地区周辺。夜になると暗さが目立つエリアだ。ここへチェックポイントの立て看板を移動し、検問を開始。オートバイを停止させ、免許証、車両登録証などの提示を求める。拳銃強盗はバイクタクシーを偽装することから、銃を隠し持っていないかを調べるため持ち物検査も実施した。第3分署からはアラン分署長自ら複数の職員を連れて参加。MACROからはウーン支部長、OCHOの経営者でMACROマカティ支部の事務局長を務めるパトリシアさんら含め、ボランティア7人が参加し、交通整理やオートバイの誘導、立て看板の設置などを手伝った。今回は車両登録証と一致しないナンバープレートを持つオートバイ1台が検挙された。その後、警察とボランティアは各店舗を見回った上で、OCHO店内で今後の協力方針を協議した。

 ▽「治安改善の認知拡大を」

 昨年10月19日以降、マカティ市では邦人に対する拳銃強盗の被害が13件報告されているが、リトル東京周辺エリアでの報告は昨年10月、11月の2件。ウーンさんを含め、客足の激減に悲鳴を上げたオーナーらが各自のルートで警察に対策強化を働きかけたことを受け、12月にはフェルナンド通りとチノロセス通りが交差する角(バー「グランドール」前)に警察の詰め所が設置された。さらにマカティ警察は周辺への職員増派、巡回の強化をしている。検問に参加した第3分署のコンパニ警部は「12月以降、このエリアでは拳銃強盗は発生していない」と繰り返し強調する。12月以降のリトル東京エリアの治安の改善はオーナーたちや店先に立つスタッフらも口をそろえる。

 「それでも日本大使館が(他のエリアでの)事件の報告をするたび、客足は途絶える。1日の客がゼロというのは珍しくない」と嘆くのは、HEIWA、ANATAの2店を経営するチョロ・サンティアゴさんだ。「われわれ比人経営者は、常連客からCCA(ホステス)に『会社から門限が設定されたから来店できない』などの連絡が来てはじめてそれを知るのがパターンだ」とため息をつく。ウーンさんは「私の店では送迎サービスもしてきたし、グラブの待ち時間もしっかり警備するなど安全対策を強化している。他の店舗もそれぞれ努力している」と語る。

 それでも客足が戻らないなか浮かび上がる課題は、各店舗を超えたエリア全体の治安確保と、その取り組みへの認知向上だ。MACROマカティ支部は、当面はリトル東京エリアにフォーカスし、治安向上に特化した活動を展開する。既に、警察詰め所への赤色灯、メガホン、医療キットなどの資機材・補給品を寄贈したほか、加盟店は入口にMACROのステッカーを貼り、被害にあった邦人の「駆け込み寺」となって警察への通報などを手伝う体制を整えた。今後は、各店のスタッフが怪しげな人物やオートバイを見かけた場合などに、無線を使って第3分署、バランガイにリアルタイムで情報を共有する体制の構築や、本格的な合同パトロールの実施、さらには身分を確認したバイクタクシーにステッカーを貼り、不審なオートバイと見分ける仕組み作りも構想する。また、バランガイや土地所有者と協議しながら、警察にテントやデスクを寄贈し、詰め所を増加させる計画も並行して進める。

 こうした活動をSNSで精力的に発信し、お店で働くCCAを通じて常連客にも情報を共有することで、安全対策の認知を高め、客足を取り戻すことを狙う。また来月以降は、ナンシー・ビナイ次期マカティ市長の就任後に陳情を行うなど市行政との連携も本格化させる予定だ。

 マカティ市では、日本人飲食店オーナーらが「メトロマニラ飲食店協会」(会長は「うな吉」の嶋川修三オーナー)を発足させるなど、横の協力を強化しながら治安問題に対応する動きが活性化する。同協会とMACROとの関係についてウーン支部長は「情報も共有しており、同盟関係。2団体のコンセプトは異なるが、目的が合致する部分では連携したい。われわれは日本人メンバーの加入も歓迎している」と述べた。 (竹下友章)

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