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連載 サンパギータと金ボタン 折居哲郎 第155回

2017/2/12 社会

 空中の三十分がとても長く感じたが、やがてネグロス島の山脈の中腹を低空飛行してサトウキビ畑の中の滑走路に着陸した。

 アイリンが飛行機を降りてすぐ、輝いた目で、「ユージン、あなたのアイデアと思考は考えれば考えるほどすばらしいわ、その実現に向けて私にも手伝わせてね」と悲願を込めた声で言う表情に、雄一はうれしくて、無意識にアイリンを抱きしめてしまった。

 初めてアイリンの体に触れた自分に驚いて、あわてて手を放そうとしたが、雄一の背中に回ったアイリンの両手を無理に引き離すことができず、恥ずかしいのときまりが悪いのとが重なって、雄一はそのまま目の前が真っ暗になってしまった。

 アランソの家に向かう道路の両側は、どこまでもサトウキビが絶え間なく生えていて、中に入ったら迷って出られそうにない。

 家に着くと夕食にはまだ早く、おやつの時間なのだろうか、庭のテーブルの上に大きな豚の丸焼きや、さまざまな料理がたくさん並べてある。

 アランソ夫妻の友人か知り合いの人たちが六人も来ていて、パーティーのような感じだ。リンダがセブ生まれとは知っていたが、彼女が他の人とビサヤ語で話すのを雄一は初めて聞いた。

 ここでもコーラのポスターで有名な雄一は、みんなにサインを求められた。

 一人ひとり、よく笑い、楽しそうにしているので、リンダに島の話をするのは後回しにした。

 ワインを飲んでいるうちに日が暮れ、庭の電灯の下で白髪の男性がギターを弾き始めると、本格的なパーティーになった。

 アランソの奥さんのルーシーが、「リンダ、あの歌を歌ってちょうだい」

と言い、みんなが一斉に手を叩くので、リンダはギターを弾く男性の前に立った。

「この歌は、私が物心ついた頃から、母が歌うのを聞いて覚えた曲で、母を思い出す歌です」

 そう言ってリンダはギターのリズムに合わせて歌い出した。

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