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失われた文化遺産 マニラ市街戦

2015/3/9 社会

 追い詰められた旧日本軍の将兵らが、強盗、強姦(ごうかん)、年齢や性別を問わない無差別殺りくを繰り返した1945年の「マニラ解放戦」。

 市街戦で家族や友人を殺された被害者らにとって、解放戦は「マニラのための戦い」であったわけだが、失われた命の多さと同様、われわれが忘れてはならないのは、戦いのさなかに喪失した文化遺産、芸術作品、フィリピン史に必要不可欠な資料だ。

 イントラムロス周辺が壊滅的被害を受けた際、国立図書館、国立博物館の入っていた旧国会議事堂も原形をとどめないほど破壊された。旧国会議事堂を接収するため、旧日本軍が国立図書館の職員らに「48時間以内の退去」を命じたのは44年12月27日。当時、職員23人は限られた時間内に、ホセ・リサールの草稿など貴重なコレクションを隣接する大学の寄宿舎へ移した。わずか2週間後には寄宿舎も接収対象となり、コレクションはマニラ市役所の金庫へ再び移された。

 国立図書館職員らの必死の努力にもかかわらず、45年2月初旬に始まったマニラ市街戦の際、コレクションは所在不明になり、職員らを落胆させた。幸運なことに、戦闘終結直後の同3月中旬、泥に埋まった箱の中から、リサール著「ノリ・メ・タンヘレ」の草稿などコレクションの一部が見つかった。

 これらマニラ戦を生き延びた書籍、資料は極めて例外であり、掛け替えのない芸術作品、本、草稿の大部分は戦火で失われた。現代の史家らは消えかけた写真や図録によって、その存在を知るしかなくなった。毎年2〜3月には、犠牲者を慰霊する行事が関係団体により行われているが、喪失した文化遺産の存在を若い世代に伝える取り組みも必要だろう。(6日・インクワイアラー、アンベス・オカンポ氏)

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