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新聞論調

2007/9/10 社会

配慮なき都市整備− MMDAと貧困層

 首都圏開発局(MMDA)のフェルナンド局長は政治的な影響を顧みずに仕事を遂行できる貴重な政府高官だ。「模範的役人」と評されるべきだが、フィリピンのような社会では権力者の手先、「盲目の人」に映る。

 その一方で上中流階層にとって同局長は「英雄」だ。路上屋台や交通渋滞、犯罪、洪水などに対して、独創的かつ実験的な方法で対処する。「理想の大統領」との期待もあるが、生活苦に追われる貧困層にとって同局長は階級闘争の権力者側の前線に立つ、「最悪の人物」なのだ。

 局長はリップサービスを排除し、貧困層を厄介者として扱う。職業上、盲目的にならざるを得ない側面もある。貧困問題の根源にある構造的不平等を解消する長期的対策は提唱できない。事象だけを取り上げ、社会の病巣には無頓着を貫くことで効果を発揮する。メディアに対し常識的な言葉で説明するが、貧困層への配慮には鈍感だ。理論から抜け出せない官僚主義が見え隠れする。

 局長はこのほど、水路沿いの違法占拠住宅取り壊しを宣言。移転先の有無を問われると、「その必要はない」と断じた。真意を疑うが、違法占拠住民問題への典型的な発言だ。

 局長が断行する「住みやすい都市造り」には賛成だ。だが彼の計画は社会問題の根源である「大規模な貧困」を除外し、全体像を反映しない。国民の三分の一が無職で、将来を悲観視する中、規律ある社会の構築は不可能だ。

 彼が路上に公衆便所を設置したように、家を用意すれば、彼らは水路沿いから立ち去るだろう。住宅取り壊しは法の下においても、形容し難い残虐行為でしかない。(1日・インクワイアラー、ランディ・ダビッド氏)

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