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アロセロス森林公園

2005/9/4 社会

画家が集う憩いの森

 マニラ市の中心部に位置し画家が集うことで知られる森林公園「アロセロス・フォレスト・パーク」。マニラ市庁舎や大型ショッピングモール「シューマート・マニラ」の最寄り駅、

軽量高架鉄道(LRT)セントラルターミナル駅を降り五分も歩けばたどり着く。公園の中では木々のにおいとそよ風を感じ、自然に帰ったような憩いを与えてくれる。

 日曜の昼下がり、公園内をのぞいてみると、写生に励む三十人ほどの画家たちに出会った。公園の東端を流れるパシッグ川、チョウが舞う緑の風景、若い女性のモデル││。みな思い思いにカンバスに筆を入れていた。

 「深呼吸ができるし、鳥のさえずりも聞こえる本当に素晴らしい場所だ。画家たちの社交の場所になっているよ」と常連の一人、レオ・メネセスさん(58)。「テレビのニュースで画家が集まっていると聞いて通い始めた」という美術専攻の女子大生、フェロメナ・ボンドックさん(17)は絵画を無料で指導してもらっている。

 この公園はもともと、教育省の施設の跡地だった約二ヘクタールの土地をマニラ市が買い上げ、市の環境改善や青少年に対する環境教育を目的に一九九三年に開園した。当時、リム市長はラモス大統領のアメリタ夫人が名誉会長を務める、環境運動を推進する民間団体「ウイナーズ・ファンデーション」との間で覚書を締結し、公園の設計から完成後の維持管理までのすべてを委託した。

 同団体のレジーナ・ロセス会長(66)によると、樹齢百年を超える大木など百五十本をそのまま残し、新たにマホガニーやナラ、モラベなど六十一種類の樹木三千五百本を植林した。公園の誕生から十二年の年月が経過、木々は成長し小さな森を形作った。少なくとも十種類の鳥が集っているという。

 だが、市長が現職のアティエンサ氏に代わって、この自然は脅威にさらされ始めた。市が公園の一部、千四百平方メートルの敷地に市の教職員のための多目的施設建設を決定、今年三月に着工したためだ。だが、管理を委託されている民間団体はこれを阻止するため翌四月、「施設建設はわれわれが市と交わした契約に違反している」としてマニラ地裁に工事差し止めを求める訴訟を起こした。現在、工事は一時中断されているが、「建設予定地には大きな穴がいくつも掘られ、既に百本以上の樹木が切り倒された」とロセス会長は嘆く。

 週に一度は公園を訪れては森林浴を楽しみ、画家たちに昼食を差し入れている同会長。「ここは騒々しいマニラの中の別世界。市のプロジェクトは自然保護が叫ばれる時代の流れに逆行する。森林を守るのは私たちの役目だ」と決意を示した。(栗田珠希)

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