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自国の「人権」顧みよ

2004/5/24 社会

米軍虐待事件

 米国務省が「人権上問題のある百一カ国」の一つにフィリピンをリストアップしたことは、今や冗談めいている。米国が他国の人権状況を批判することが、なんとも不似合いで、失笑を誘う状況となっているからだ。

 イラクのアブグレイブ収容所での米兵による虐待事件によって米国は「モラル上の優越」を失った。これを回復するには、虐待関与の米兵を軍法会議にかけるだけでは十分でないと米政府高官は認識しているはずだ。その「モラル上の優越」は、イラク占領開始とともに揺るぎ始め、今回の虐待事件はこれを完全に消滅させてしまった。

 だからといって、フィリピンがわが国に対する人権上の批判は不当だと居直れるはずはない。アジアで「最も自由奔放な」民主主義の国に、人権虐待は存在しないということにはならないのだ。実際、多くのジャーナリストが報道内容を疎まれて凶弾に倒れている。

 おそらく比の法執行者にとって、今回最もショックだったのは虐待現場の写真が報道されたことだろう。比では法執行者の権利は法により守られているが、女性や子供たちの人権は侵害され続けている。

 虐待の罪を問う軍法会議が始まれば、米国人は良心の呵責(かしゃく)に苦しむだろう。同時に国際社会、とりわけアラブ社会の憤りを緩和しなくてはならない。つまり、「虐待事件は単発的であり、戦時の国家であっても人権は守られ、テロの時代にも自由は尊重されるべき」とのメッセージを伝え、彼らを納得させなければならないのだ。

 一方、われわれは自国の人権侵害や虐待の問題を抱えている。米国人を嘲(ちょう)笑してばかりはいられない。(20日・スター)

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