首都圏パサイ市ホテルオークラで27日、フィリピン訪問中のJICA議員連盟とフィリピン政府閣僚・高官との会談が開かれた。日本からは小渕優子議連会長(自由民主党)ら与野党議員7人、比政府からはディゾン運輸相、比沿岸警備隊(PCG)のガバン長官ら5人の閣僚・高官が参加。首都圏地下鉄、南北通勤鉄道、PCGへの巡視船供給など多岐にわたる日本の開発協力について、協議を行った。JICA議連が大所帯で公式にフィリピンを訪問するのは少なくとも直近5年はなく、極めて異例だ。
会談冒頭、小渕議連会長は「われわれは超党派の議連。それぞれ影響力を持った議員だ」と紹介。「国際社会が大きな転換点を迎える中で、日本にとって同じ価値を共有できるフィリピンとの関係はこれからますます重要になる。長年築き上げてきたODA(政府開発援助)事業も大きな役割を果たしていると思う」とし「日本の事業の進ちょく状況や運営を視察し、しっかり次につなげていきたい」と意欲を示した。
ディゾン運輸相は「私は前政権の基地転換公社の総裁時代から、日本のODA事業の目覚ましい成果を見てきた。首都圏地下鉄、南北通勤線、PCG能力構築、その他多くのプロジェクトは比人の暮らしを大きく変えるだろう」と述べ、現在進行中のプロジェクトを「より早く前進させることを約束する」と請け負った。そして「日本そしてJICAというパートナーを持てていることはわれわれにとって幸運。感謝しても感謝しきれない」と強調した。
会談後ディゾン運輸相は、「フィリピン側の予算の問題でJICA事業に遅れが発生しているが、その問題はどうするか」とのまにら新聞の質問に「間違いなく予算は確保される。予算を確保せよというのがマルコス大統領からの明確な指示だからだ」と明言した。
議連は、軽量高架鉄道(LRT)1号線の車両基地(首都圏パサイ市)、JICAパートナーのNPO「アクション」の活動(同ナボタス市)、首都圏地下鉄国軍基地駅(同ケソン市)を視察し、日本大使公邸で開かれる海外協力隊60周年式典に参加する。
今回参加したのは、小渕議連会長のほか、中谷真一衆議院議員(JICA議連事務局長、自民党)、鈴木貴子衆議院議員(自民党)、江島潔参議院議員(同)、竹内譲衆議院議員(公明党)、金子恵美衆議院議員(立憲民主党)、桜井周衆議院議員(同)の7人。遠藤和也駐比日本国大使、国際協力機構(JICA)フィリピン事務所の馬場隆所長も同席した。
フィリピンからはディゾン運輸相、ガバンPCG長官のほか、公共事業道路省のサダイン次官、経済計画開発省のカプノ次官、予算管理省のトレド次官が参加した。(竹下友章)