大統領府は22日、南西季節風(ハバガット)などによる豪雨災害により、首都圏などで23日の政府機関・授業を休業すると発表した。異例の3日連続の休業となる。それに先立ち、比気象庁は22日朝に首都圏およびバタアン、カビテ両州を対象に、住民に避難を命じることができる「レッド警報」(3段階で最高レベル)を発令した。首都圏の中でも冠水被害の深刻なケソン市は同日、災害宣言を発出。マニラ市のモレノ市長は23日に市議会が災害宣言を発令することを決定したと発表した。また、在フィリピン日本国大使館は23日の領事窓口を終日閉鎖すると発表した。
▽熱低発生で更に悪化
比気象庁は同日、ルソン島の東1100キロの海上で新たな熱帯低気圧「ダンテ」が発生したと発表。同庁のアスクラール気象予報士は「ダンテの影響で季節風の勢いが増すため、23日から24日にかけ、首都圏、カラバルソン、中部ルソン両地域で天候が更に悪化する」とした。23日の首都圏の降雨量は「200ミリとなる」と予想した。
ケソン市では22日午後5時時点で1万512世帯3万7373人が避難所に移動した。同市の災害対策本部のマリアビアンカ・ペレス本部長は、同市で豪雨災害により1人が死亡、3人が行方不明になっていると発表した。また、「コモンウェルス通りがここまで冠水したことは初めてだ」と説明した。マニラ市は22カ所の避難所を開設し、3500人以上を避難させた。
比沿岸警備隊(PCG)は冠水で移動が困難になった住民のために、マニラ市キアポからケソン市フェアビューまで、小型バスを使った無料の移動サービスを提供。冠水で立ち往生状態になった住民を隊員がバスに乗せて送迎した。(竹下友章)