

最初の挨拶で長縄が「映画は楽しんでいただけましたでしょうか?」と観客に呼びかけると、大きな拍手が沸き起こる。石原監督も「皆さんに観ていただける日を楽しみにしていました」と伝えつつ、「ですが、いざこの日になって緊張してきました(笑)」と茶目っ気たっぷりに今の思いを話し笑いを誘った。

長縄が完成した映画を観た感想を話す場面では「もう……よすぎて」と短い言葉に思いを詰め込む。アフレコではカンナに集中していたことを伝えながら、「俯瞰して小林さんとか、トール様とか、背景(美術)とかを観たときに、『メイドラゴン』ってすごくカッコいいんだなと思いました」と、新たな発見があったことを明かした。これには田村も「分かる!」と同意。長縄が「いつにも増して小林とトール様カッコよかったですよね?」と観客に問いかけると、賛同を示すように大きな拍手が返ってくる。桑原も「迫力がすごかった」とアクションシーンを褒め、日常アニメの側面が強かったTVシリーズとはまた違った魅力を力説していた。

またイベントでは桑原が都合が合わず、試写会に参加できなかったことも明かされる。収録時にも映像はあったそうだが、桑原は「私が『観ました』と言うと試写を観た2人(田村と長縄)が、『そんなもんじゃないって』と言ってくるんです(笑)」とマウントを取られていることを訴える。これを受けて田村は「(収録でも)画の完成度は素晴らしかったんですけど、さらにいい画になって、音と合わさって……もう最高だったよ」と桑原に完成版の素晴らしさを説いていた。

石原監督も「好きなシーン、好きなカットがたくさんある」と、具体的なシーンを挙げながら映画への思いを伝える。田村と長縄も監督が挙げたシーンが特にお気に入りだったそうで、桑原からはこの日の楽屋でまさにそのシーンについて2人にマウントを取られていたことが明かされた。
4DX、MX4Dでも同時公開されることが決まっている「小林さんちのメイドラゴン さみしがりやの竜」。田村は「恐竜映画を観ているのかな」と思うほど迫力満点なシーンがあることを話し、「4DXとかで観たら楽しそう!」と想像を膨らませる。これを聞いた石原監督が上下するようなジェスチャーを交え、直前に4DXのチェックをしてきたことを明かすと、キャストの3人が沸き立っていた。

ここで登壇が明かされていなかった小林がサプライズで登場。小林は「甥っ子、姪っ子の子供が大ファンなんです」と話し、今回の主題歌担当について話した際にも「幸子おばちゃんが歌うの」と目を輝かせていたというエピソードを披露する。2021年にTVアニメ「小林さんちのメイドラゴンS」のエイプリルフール企画に参加したことが、作品との最初の関わりだった小林。石原監督は今作でのエンディング主題歌担当について、「瓢箪から駒」と、ことわざを用いて当時は考えもしなかったことだとしながら、「今年の(エイプリルフールの)コラボの時点でほとんど決まっていたんですが、1回目のコラボからご縁を感じていました。今回映画ということで、エンディングとかどうだろうという話になりました」と明かした。
小林は今作で声優にも挑戦。芸能生活61年で初のドラゴン役を務める。現場では監督に「ドラゴンってどんなふうに演じればいいんですか?」と尋ねたところ、「ラスボスでお願いします」とディレクションされたそう。石原監督は音響監督の鶴岡陽太のお願いもあり、アフレコブースの中で小林の横に立ち直接ディレクションしながら収録したことも明かした。田村も小林の演技について「お歌だけじゃなくてお芝居もできる!」と賞賛の言葉を贈った。

「人って当たり前って思っているけど、当たり前なんてない」「人と人のめぐり合わせって奇跡だと思います」と楽曲に込めた思いを語った小林。エンディング主題歌「僕たちの日々」の歌唱を終えると、割れんばかりの拍手が会場を包んだ。一時降壇していたキャスト陣は目を潤ませながら再度壇上にあがる。小林の生歌を聴いた長縄は「カンナを守ろうとする小林の愛とか、小林を守ろうとするトール様の愛とか、それを支えるファフニールさんとかエルマとか。いろんな方向からの絆とか愛が、ぎゅっと詰まっている映画だなとお歌を聴きながら改めて心にしみました」と涙をこらえながら思いを伝えた

最後の挨拶では長縄が、家での練習ではどうしても泣いてしまい上手に言えなかったシーンがあったことを明かす。続けて「長年カンナと一緒に歩み続けているので、私の中でも何回観ても泣いてしまう映画です」と話し、「自分の人生だったり、これからの未来を考えるきっかけになれば、とってもうれしいです」と呼びかけてイベントを締めくくった。

「小林さんちのメイドラゴン さみしがりやの竜」は6月27日公開。幼いドラゴンのカンナのもとに、本当の父親が現れたことから物語が動き出す。制作はTVシリーズに引き続き京都アニメーションが務めている。
映画「小林さんちのメイドラゴン さみしがりやの竜」
2025年6月27日(金)劇場公開
スタッフ
原作:「小林さんちのメイドラゴン」クール教信者(双葉社「漫画アクション」連載中)
監督:石原立也
シリーズ監督:武本康弘
脚本:山田由香
キャラクターデザイン・総作画監督:門脇未来
美術監督:笠井信吾
色彩設計:高橋奈緒美
小物設定:唐田洋
撮影監督:植田弘貴
3D監督:山本倫
音響監督:鶴岡陽太
音楽:伊藤真澄
音楽制作:ランティス・ハートカンパニー
アニメーション制作:京都アニメーション
製作:ドラゴン生活向上委員会
配給:松竹
キャスト
カンナ:長縄まりあ
小林さん:田村睦心
トール:桑原由気
エルマ:高田憂希
ルコア:高橋ミナミ
イルル:杉浦しおり
ファフニール:小野大輔
滝谷真:中村悠一
才川リコ:加藤英美里
真ヶ土翔太:石原夏織
キムンカムイ:立木文彦
アーザード:島崎信長
※高橋ミナミ、高橋奈緒美の高ははしごだか、島崎信長の崎はたつさきが正式表記。
(c)クール教信者・双葉社/ドラゴン生活向上委員会
提供元:コミックナタリー