バンサモロイスラム自治地域(BARMM)内のバシラン州ティポティポ町で28日、地元勢力の間で武装衝突が発生し、同町は一時「包囲戦下にある」と宣言した。同町の住民の9割が一時避難した。比陸軍の発表によると、同州の長老が州政府と共に武装勢力と交渉し、武装勢力は撤退。衝突の中で1人が負傷したと報告されている。
現地報道などによると、同日早朝、地元の武装勢力が町役場を包囲。銃声が鳴り響いた。そこに国軍も出動し、緊張状態が続いた。
ティポティポ町は午前7時すぎ、同町が「MILFの後援を受けた不法分子による包囲戦下にある」と宣言。全ての役場の業務および学校は休業とすることを発表した。同町のイスタルル町長は午前9時45分に「双方は依然として膠着(こうちゃく)状態にあり、交渉が続いている」と発表した。
同日午前11時20分ごろ、同州の長老がバシラン州政府の関係者と共に武装勢力と交渉し、同勢力はティポティポ町から撤退した。
比国軍は午後に声明を出し、今回の事件を「『リド』(氏族間抗争)に関連した紛争だったことを確認した」と発表。政府・MILF間の停戦調整委員会(CCCH)とバシラン州政府が「対話と緊張緩和を進めている」とした。その上で、「国軍は通常の状態に回復し、住民の安全を守るため、西部ミンダナオ方面軍を通じ、国家警察、バシラン長老評議会、MILF指導部と緊密な連携を続けている」と述べた。
西部ミンダナオ方面軍でイスラム武装勢力への対応に当たる合同タスクフォース「オリオン」隊長兼陸軍第11歩兵師団長のレオナルド・ペニャ少将によると、今回の衝突は、MILF元メンバーで、同町にあるバランガイ(最小行政区)バギンダンの議員を務めていたウスタズ・バハン氏が21日に射殺された事件に起因。ペニャ師団長は「武装勢力が制裁を与えたがっていた人物たちのうち1人は、ティポティポ町の別のバガンガイ議長だった」とした。
バシラン州のハタマン知事は27日、「ティポティポ町で緊張が高まっている」とし、MILF、国軍、宗教指導者らと緊張緩和に向け協議していることを発表していた。(竹下友章)




