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「介入望む声に屈しなかった」 参謀総長、クーデターの危機認める

2025/9/26 社会
ブラウナー参謀総長

比国軍参謀総長が反汚職デモで国軍の介入を求める声があり、クーデターの恐れがあったことを認めた

21日の大規模デモの際に政権を転覆させる計画があったとの説がくずぶるなか、比国軍制服組トップのブラウナー参謀総長は現地紙に寄せた手記で、「軍に介入を求める声にもかかわらず、国軍は割れず、一人の兵士も同僚に武器を向けなかった」と称賛しながら、国軍の一部が造反しクーデター事件が発生する恐れがあったことを事実上認めた。同手記は23日に英字紙インクワイアラー電子版で公表されたが、ピューリッツァー賞ジャーナリストのモガト氏が宗教団体と陸軍司令部によるマルコス大統領退陣計画を報じた翌日の25日、国軍のメディア向けチャットグループや公式SNSで投稿された。

 ▽反汚職への強い共感

 ブラウナー氏は21日に全国で8万人以上が参加したと推計される反汚職デモについて、「この抗議活動は、排水システムの機能不全のせいで起こった洪水・冠水被害など、実生活の苦しみから湧き上がった。一方でそれを防止するための予算は間違った形で使われ、実地に全く届いていない」とし、デモ参加者に「深い敬意」を示しながら、政府の腐敗批判に踏み込んだ。

 さらに「汚職は一般市民も怒らせるが、国のために命と五体を危険にさらしている兵士にとってはより深く突き刺さる。われわれ軍隊は母国のために身を犠牲にする。公職者がこの犠牲を裏切っているのを見るのは苦痛だ」とし、国軍が汚職に強い怒りを抱いていることを強調した。

 その上で、「こうした怒りにもかかわらず、国軍は規律正しく、成熟しており、プロフェッショナルだった」とし「われわれは特定の政治勢力ではなく『憲法、国家、国民』に対する義務に従った」と述べ、マルコス政権への忠誠に直接言及せず兵士たたえた。

 また「クーデターが多発した80年代、私は士官候補生や青年将校として過ごした」と回顧。1986年のエドサ革命(アキノ政変)、実際に戦闘が発生したホナサン大佐による87年、89年のクーデター未遂事件を挙げ、「私は兵士がお互いに銃を向けあい、命を奪いあうのを見てきた」と振り返った。

 その上で、「参謀総長になってから、政治のせいで兵士が対立する点に到達しないか恐れていた。しかし今回のことで私の不安は不要だと分かった。今日の国軍は一枚岩だ」とし軍規律を称賛した。しかしその裏返しに、国軍から離反者が出る現実的な懸念を持っていたことを認めた形となった。

 

 ▽汚職捜査に軍関与

 またブラウナー氏は、「ディゾン公共事業道路相は幽霊事業や基準を満たしていない事業の捜査について軍に支援を求めた」と報告。「これは新しいことではない」とし、政府反共機関「共産主義勢力との紛争を終わらせる国家タスクフォース」(NTF―ELCAC)の「バランガイ開発プログラム」の下で、国軍が自治体公共事業の監視に当たってきた経験があると説明した。(竹下友章)

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