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麻薬戦争遺族を支援する比人神父 マグサイサイ賞を受賞

2025/9/2 社会
麻薬戦争の犠牲者の正確な死因を特定するための再検視に向けて墓地で遺体の回収を行なうビリャヌエバ神父(右端)と遺族たち=2023年10月3日、澤田公伸がマニラ北墓地で撮影

今年のマグサイサイ賞にドゥテルテ前政権下における麻薬撲滅戦争の犠牲者の遺族支援を行ってきたカトリック教会のビリャヌエバ神父が選ばれた

ラモン・マグサイサイ財団は8月31日、「アジアのノーベル賞」として知られるラモン・マグサイサイ賞の2025年(第67回)の受賞者として、ドゥテルテ前政権下の強権的な麻薬撲滅戦争に伴う超法規的殺害事件で夫や子どもなどを失った遺族たちの支援や、マニラ市の路上生活者のための炊き出しや居場所の確保などの支援に奔走してきたカトリック教会のフラビアーノ・ビリャヌエバ神父(54)を含む1団体・2個人を選出したと発表した。授賞式は11月7日にマニラ市のメトロポリタン・シアターで開催される。

 同財団は声明で、ビリャヌエバ神父の選出について「フラビー神父は自身の生涯にわたり貧しい人々や抑圧された人々が尊厳を保てるよう支援するミッションに身を捧げ、日々、最も小さな兄弟に仕えることで揺るぎない信仰を証明している」とその貢献を称えている。

 また、ビリャヌエバ神父も声明で「私はこの名誉を、路上で『ホーム』と呼ぶ場所を探す無数のホームレスの人々、そして『麻薬戦争』による犠牲者となった勇気ある孤児や遺族たちのために受け取りたい」と喜びを仲間たちと分かち合う姿勢を示している。

 ビリャヌエバ神父はマカティ市生まれで広告会社に勤めた後、違法薬物に手を出し依存症となったこともあったが、25歳の時にカトリック修道会で祈りと瞑想の機会を得て信仰の道に進むことを決意。2015年にマニラ市タユマンにあるカトリック社会貢献活動機関に赴任し、路上生活者を支援する慈善団体を結成。コロナ禍の最中には1日1000人近い路上生活者たちに食事や休憩場所を提供するなどした。

 その後、ドゥテルテ政権下での麻薬戦争で夫や父親を失った母親や子どもたちのケアを行う遺族支援プログラム「プロジェクト・パグヒロム(癒し)」を立ちあげた。その後、麻薬戦争の犠牲者たちの慰霊碑を着工させたほか、支援する犠牲者の遺族たちの一部がオランダ・ハーグの国際刑事裁判所(ICC)に前大統領らを相手取り、人道に対する罪の容疑で提訴する手続きも支援、今年3月の前大統領の逮捕とICC拘置施設への連行につながっている。

 今年のマグサイサイ賞には他に、インドで女性たちへの学習支援を行うNPO「エデュケート・ガールズ・グローバリー財団」と、インド洋の島国モルディブで海洋プラスチック汚染防止の啓発活動を行っている環境活動家のシャイナ・アリさん(59)も選ばれた。

 1958年からアジアで社会貢献に尽くした個人や団体に授与されてきた権威ある同賞の受賞者としては昨年、アニメ映画監督の宮崎駿さんも選ばれている。(澤田公伸)

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