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ハロハロ

2015/12/14 社会

 1978年初頭、パリの一般館で小津安二郎監督の「東京物語」(53年)が上映された。フランスで当時、日本の映画監督は国際映画祭で受賞した黒澤明や溝口健二が著名で、小津作品はシネマテークなど限られた場所でしか見られず、一般のファンには馴染みがなかった。町の映画館で小津作品が上映されたのは初めて。硬派の夕刊紙「ルモンド」が一面で「やっと小津がやってきた」と紹介記事を書く異例の扱い。各紙も「黒澤は絵具で描き小津はデッサンする。その禁欲的なまでの素朴さ!」「個々に描かれた人生そのものに観客は参加することになる」などと絶賛した。

 日本の経済進出が何かとやり玉に挙げられる時代だった。当時、パリ支局勤務だったが、これは明るいニュースと飛びついて記事にした。映画館にも足を運んでみた。館内が明るくなると、お年寄りを中心に観客が瞼を押さえる姿が見られた。古い小津流庶民劇が共感されている状況に、わがことのようにうれしかった。表題作は尾道に住む老夫婦が息子や娘に会いに上京する物語。その中で亡くなった次男の嫁「紀子」を好演したのが、原節子。その原節子が9月に死亡していた(95歳)と報じられた。

 小津監督の下、原節子は女性が家庭に入ることを当然視されていた時代の、たおやかだが芯のある日本女性を明るく演じた。主演作では、寡夫の父親と父の身を案じて結婚をためらう一人娘を描いた「晩春」が一番と思う。12日が同監督の命日だったこともあり、先週は小津安二郎全集(DVD)を取り出してどっぷり浸り、時に退屈し時に涙した。(紀)

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