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ハロハロ

2013/9/30 社会

 南ルソンのラグナ、バタンガス両州にまたがって背を伸ばすマキリン山。そのふもと近くの小山から見下ろす草原に、この時期、帯状に伸びる芒(ススキ)の白い穂波が目立つ。雨や曇り日の多い今年は例外だが、太陽がタガイタイの北斜面に落ちるころ、特に白い穂波が夕映えに染まり、「常よりも今日の夕日の芒かな」という尾崎迷堂の句を思い出させる。そして「山は暮て野は黄昏の芒かな」(蕪村)という情景で一日を終える。この草原はマキリン山ろくに広がる森林と地続きだが、その濃い緑の木々の中に、これまでになかった異変が現れていた。

 確か6月ごろ、「あの辺りのヤシは枯れそうですね」と、拙宅を訪ねてきた友人が眼下に広がる森を指差したのが切っ掛けだった。それは高さが20〜30メートルあるココヤシ。拙宅の真下に広がるゴルフ場の周辺からマキリンのふもとにある小さな山、近くのバランガイ(最小行政区)を囲む林まで、一本の例外もなく、ヤシの葉は茶っぽく枯れかかっている。「バタンガス州のヤシも同じ状態だ」と近所の人。この国が輸出する最大の農産物はココナツを原料にしたものなのに、なぜこんな惨状が大きく取り上げられないのだろうか。

 正確な情報が知りたい一心で、近くに住む比大農学部の元教授を自宅に訪ねた。説明すると、うなずいてパソコンのキーをたたいた。画面に出てきたのは「Cadang-cadang」(カダン・カダン)。「死にかけている」という意味のビコル語で、解説文によると、1927年ごろ、ビコル地方の島でウイルスより小さい病原菌にココヤシが侵されているのが見つかった。今から85年以上も前のことである。一度感染すると不治の病になり、すでに3千万本のココヤシが枯死したという。この国の経済にとって大打撃。なにか打つ手はないものかと思う。(濱)

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