自衛隊は7日、セブ島沖の地震の救援に関し、比日部隊間協力円滑化協定(RAA)を初適用した。今回の「協力活動」は比空軍と航空自衛隊の共同訓練「同心バヤニハン」(第5回)のかたちで実施され、空自は要員約30人と空中給油・輸送機KC130を投入。同活動中に、レイテ島タクロバン空軍基地からマクタン空軍基地まで比が用意した支援物資の輸送を行う。先月11日のRAA発効から1カ月と経たないうちに初適用が実現した。同日、自衛隊のKC130がラプラプ市のマクタン空軍基地に到着。今回の「協力活動」は11日まで続く予定だ。
比国防省は同日に声明を発表。共同訓練に合わせて人道支援を実施することについて日本政府に感謝を表明し、その上で「両活動は、RAAが2国間防衛協力を促進し、相互運用性を確かめ、両国の地域の強靭(きょうじん)性・安全保障・安定への取り組みを前進させるという重要な役割を果たすことを強調する」とした。
RAAは訪問部隊の法的地位を定めるほか、派遣部隊の入国手続きを簡素化し、派遣国の軍艦や軍用機は受入国の部隊と同等の条件で港湾や空港を使用できることなどを定める。
日本外務省は7日、先月30日にRAAに基づく合同委員会会合が実施されていたことを公表。「9月30日深夜に発生したセブ島沖地震対策のため、フィリピン側の要請を受け、共同訓練の機会に自衛隊がフィリピン国内で救援物資の輸送支援を実施する」とし、人道支援についても「RAAが適用される」とした。
比国軍のブラウナー参謀総長は3日午前の会見で、内倉浩昭統合幕僚長(空将)と災害救援について会合を持つと明らかにしていた。
国家災害対策本部は7日、先月30日にセブ州を襲ったマグニチュード6・9の地震による死者数が72人、負傷者は559人に達したと報告している。(竹下友章)