ドイツの国際援助団体とルール大学が最近まとめた193カ国・地域に関する自然災害リスクに関する2025年度版の報告書で、フィリピンのリスク指数が46・56で世界ランキングでワースト1位だった。24年度版でも比がワースト1位になっており、台風や洪水、地震などの自然災害の発生頻度が高く、災害への脆弱性も高いと評価されている。
同報告書の世界リスク指数では自然災害への遭遇頻度やその対策に関する脆弱性、レジリエンスの強さや対処能力、長期的な社会対応能力の構築なども指標として、総合的なリスク指数を評価している。
25年度報告書でフィリピンに続いてリスク指数が高かったのはインド(同40・73)、インドネシア(39・80)、コロンビア(39・26)、メキシコ(38・96)、ミャンマー(36・91)、モザンビーク(34・39)、ロシア連邦(31・22)、中国(30・62)、パキスタン(26・82)の順番で、これらの国がトップ10に入った。また、日本もリスク指が24・81で、全体の17位と自然災害に対するリスクが高いと評価された。
逆に最もリスク指数が低かったのはモナコで、シンガポールも全体の188位と東南アジア諸国では最も災害リスクが低いと評価された。
また、25年度報告書では特に洪水被害に対するリスクについて分析をしており、洪水に対するリスクマネージメントの重要性を強調している。特にフィリピンに関する洪水リスクについて分析しており、狭隘な河川に雨水が集まりやすいことや海岸線が長く洪水が発生しやすい地形であること、気候変動に弱く、急速な都市化による人口増と河川や運河などの土砂堆積などにより洪水発生のリスクが高まっているとした。
さらに、フィリピンの州別の洪水リスクも紹介しており、最もリスクの高い州はルソン地方北部のカガヤン州で、2~5番目にリスクが高かったのは北アグサン州、パンガシナン州、パンパンガ州、そしてマギンダナオ州だった。首都圏も国内で6番目に洪水リスクが高いと評価されている。逆にリスクが低かったのはマリンドゥケ州、そしてラグナ州とバタネス州だった。
同報告書によると、首都圏とラグナ州は隣接しているにもかかわらず、ラグナ州には丘陵地帯や国内最大のラグナ湖に面しており、特にラグナ湖が余剰の雨水などを吸収して徐々に河川に排出するなど緩衝地帯として働いており、都市化と海抜の低い河川や運河を多数持ち、鉄砲水のような洪水が発生しやすい首都圏と対照的な地形だと分析した。(澤田公伸)