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11月7日のまにら新聞から

助けを求めることが大きな困難 うつ症状とのつき合い方

うつ症状との共存は、まるで流砂にはまったようなものだ。見えない力に逆らうには、計り知れないほどの困難が伴う

[ 698字|2021.11.7|社会|新聞論調 ]

 うつ症状との共存は、まるで流砂にはまったようなものだ。見えない力に逆らうには、計り知れないほどの困難が伴う。私が育った時代は、今ほどメンタルヘルスが理解されていなかった。さらに育った地方では、うつ症状や不安症、自殺はタブー視され、弱さや失敗を意味していた。

 人の価値は、その人の性格や業績、可能性で計られ、いずれの能力も高い者が社会的に認められてきた。うつ症状を抱えれば、当然、社会的な拒絶に遭った。そのため、私も幼少からこの成功のイメージに向けて努力し、感情の起伏を抑え、心に湧いた疑問を押し殺してきた。

 常にクラスでトップ成績だった私に、教師は生徒会リーダーを薦め、学校を代表して地元の大会にも出場した。常に最高のパフォーマンスを求められ、それに一所懸命応えようとしてきた。これが残念ながら、後に極度の不安を引き起こす元となった。

 2015年、家族や友人たちの希望を背負って国内トップと呼ばれる大学の入試に全て合格した。しかし、首都圏での慣れない生活の中、初めて成績不振などを経験、精神的に打ちのめされ、何をするにも徐々に意欲を失っていった。

 残念ながら、家族は長年の私のイメージから、うつ症状を受け入れることができなかった。自殺も考えた2019年、ついに首都圏で数少なかった精神科に飛び込んだ。助けを求めることがとても困難だった。

 今ではその選択肢が自分の弱さでないことを知っている。「流砂」の状況を認めることは恥かしくはないのだ。今はできることを行い、同じ状況の人を助けることもできるようになっている。(2日・インクワイアラー、フランツ・レガスピ、公共サービス職員)

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