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10月3日のまにら新聞から

「まるでヘルメットのない兵士」 新型コロナ最前線の英雄

[ 694字|2021.10.3|社会 (society)|新聞論調 ]

 私たちは新型コロナの最前線で医療活動を行う人々を「英雄」と呼んできた。しかし、なぜ彼らが必要な防護具や特別手当なしにこの戦いを遂行することを見過ごしてきたのか。英国ではエリザベス女王が、患者への献身を称え、複数の医療従事者に大英帝国勲章を授与した。米国のイーストリバーでは、比人医療従事者の米国での英雄的な物語と犠牲を悼む写真展が開催された。

 9月26日時点で比の医療従事者は105人が死亡、366人が未回復だ。ワクチンがなかった1年前、医療従事者5千人が感染し、約40人が亡くなっていた。2020年8月3日、ドゥテルテ大統領宛ての手紙で英雄たちは、検査キットや必需品の要請を行ったにもかかわらず、保健省が無視していることを訴えた。他の多くが生きられるようこの国の英雄は自ら命を差し出すことになったのだ。

 資本の少ないファーマリー社が政府から数十億ペソ相当の医療用備品の供給契約を受注し、破損や期限切れの粗悪品を供給した事実が上院委員会で明るみに出た。大統領や下院委員会がなぜファーマリー社を擁護するのかが不可解だ。大統領はフェイスシールドに期限があることを疑った。ドゥケ保健相は「通常のと異なり、医療用には上部の縁に保護フォームがあり、時間とともに劣化するため、有効期限がある」と説明した。

 最前線で働く人々が、相応しいものを与えられずにそっと殺されている。金銭的な権利だけでなく、士気や尊厳も奪われている者について私たちはもっと知る必要がある。まるで流れ弾を防ぐヘルメットも与えないまま、兵士を戦場に送り出しているようなものだ。(30日・ブレティン、ディワ・ギニグンド)

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