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6月20日のまにら新聞から

なぜ、ドゥテルテなのか 大統領の5年間

[ 657字|2021.6.20|社会 (society)|新聞論調 ]

 「ドゥテルテ氏はマグサイサイ元大統領に次ぐ偉大な大統領と言われるようになるかもしれない」と以前、書いたら、感情的な非難が殺到した。国民は大統領を好きか嫌いかで二つに分かれている。

 私はドゥテルテ大統領を就任以来、批判してきた。比の歴史上で最も腐敗した故マルコス大統領を国立墓地に埋葬したこと、中国に迎合しその勢力拡大に加担していること、米国の支援が一番必要なときに比米間の条約を軽んじたこと、麻薬王たちと戦い、中国という麻薬の供給源を断つべきなのに末端の売人の超法規的殺害に明け暮れていることなどでだ。

 ドゥテルテ氏は比の歴史上、ユニークな存在だ。政治を汚して経済発展を遅らせてきた寡頭制に就任早々、挑戦した。同じく寡頭制支配が続き、腐敗し、自らを無敵とみなしてきた比メディアに自らの立場を分からせた。貧困者に十分な支援をしないカトリック教会を批判し、過去のどの大統領より多くの道路や建物を建設し、国軍と警察を近代化した。

 報道の自由については、大統領はラジオ局や新聞社をつぶしておらず、ジャーナリストを投獄してもいない。ABS—CBNの放送免許問題は報道の自由ではなく、政治と金の問題だ。

 政治制度は人々によって作られる。マルコス元大統領が戒厳令を宣言したとき、比政治の弱点が露呈した。コラソン・アキノ大統領は民主主義を復活させたどころか弱体化させた。マルコス一族は権力に返り咲いた。その一族の盟友が大統領だ。私たちは自身を見つめ直し、泣こうではないか。(14日・スター、作家 シオニル・ホセ)

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